写真:Ise Shinkurou
地図を見る英国映画協会発行の「サイト・アンド・サウンド」は、1952年から発行されている権威ある映画専門誌。この雑誌では10年に一度、映画専門家の投票からベスト作品を選び発表しており、欧米中心ではありますが、最も価値ある評価だと言われています。
そして2012年堂々第一位を獲得したのは、小津安二郎監督「東京物語」!日本映画史上初の快挙です。
ヨーロッパで高い評価を受け続けている「東京物語」が公開されたのは1953年。まさに時代を超えて映画ファンの魂を揺さぶり続けている、最高の日本映画と言えるのではないでしょうか?
また小津監督の作品は、夫婦・家族の心の絆と愛の葛藤を描いたものが中心ですので、いつの時代もそして今だからこそ光る作品が多いのです。
明治36年東京都深川で生まれた安二郎氏は、子どもは故郷で育てたいと言う父親の考えから、父の故郷である三重県松阪に転居します。
「江戸店持ち松阪商人」の家に生まれた監督の父は、仕事の関係で東京と三重を半年ごとに移動する生活。そして小津映画の源流とも言える「家族愛の感性」を育んだのが、父親と離れて暮らした10年間だと言われています。
松阪市にある「小津安二郎青春館」には、監督の幼少期・青春時代を彷彿させる資料が多数展示され、数々の名作を生み出した監督の源流に触れることが出来ます。
建物の外観は大正から昭和の映画館を再現!このレトロな雰囲気を持つ建物の中に、小津監督の感性を育んだ歴史がいっぱい詰まっているのですよ。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る出窓風の角ばった「券発売所」は、まるで昭和初期にタイムスリップしたような懐かしさ!そして何と「ペンキ塗の映画看板」です。これぞまさに昭和初期の映画館!
1903年12月12日に生まれ、1963年12月12日、自身が還暦を迎えた日にこの世を去った映画監督・小津安二郎の青春時代に思いを馳せ館内に入りましょう。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る3畳ほどの和室スペースには、監督が小学生の頃使用した机、自筆の書、普段着用していた作業着等が展示されています。そして、江戸店持ち松阪商人の豊かな生活を垣間見ることの出来る「漆塗り重箱」「箱膳」も。
また古い木材を使用した天井も凝った造りになっており、昭和初期の生活そのものですね。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る館内には監督が幼少時に父母に宛てた手紙が11通展示されています。最も古い手紙には、9歳の子どもとは思えないほどの表現力と観察眼で、父母への思慕と身近な出来事を書いています。
まるで小津映画の脚本の一ページを見ているようで、とても心が温かくなる手紙です。ここに彼の映画の源流があるのだと納得する程お勧めの、小津監督9歳の作品です。
また映像スペースでは、小津監督ゆかりの場所や幼少時のエピソードなどを15分ほどのビデオで紹介しています。
監督が暮らしたこのエリアは、昭和26年の松阪大火の被害を受けた地域で、監督が中学時代に立ち寄った「神楽座(映画館)」「生家」等ほとんどが一瞬にして灰になってしまいました。
しかし、監督の母・あさゑさんが、幼い頃の手紙・書画・日記等を蔵に大切に保管していました。きっとこの母の愛情が映画で描かれる「人間への優しいまなざし」を育んだのでしょうね。素敵な遺品だと感じていただけます。
映画の世界には時代の波に飲まれることのない素晴らしい作品が多く残りますが、生誕百年を超えてなお世界中の人々に感動を与える小津安二郎監督。
小津流と呼ばれる独特の映像の世界を作り上げた監督の源流を「小津安二郎青春館」で感じてみませんか?
駐車場が無いので歩いて2分ほどの私営駐車場を利用。お出かけ前に開館日時を下記メモ欄より確認して下さいね。
また監督は江戸店持ちの松阪商人の家の出身です。小津監督ゆかりの「商人の館」が一般公開されていますので、監督の青春時代の一コマを彷彿させる建物にも是非立ち寄ってみて下さいね。青春館から車で5分ほどです。
※館内は撮影禁止です。
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(2024/3/19更新)
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