ドイツ・ローテンブルク「中世犯罪博物館」で歴史の裏街道を垣間見る

ドイツ・ローテンブルク「中世犯罪博物館」で歴史の裏街道を垣間見る

更新日:2018/07/31 10:17

澁澤 りべかのプロフィール写真 澁澤 りべか 西洋史ブロガー
ドイツのローテンブルクといえば、絵本のようにメルヘンチックな街並みで有名です。しかし街を取り囲む城壁は『進撃の巨人』を思わせ、その城壁を背負うようにしてなんともおどろおどろしい「犯罪博物館」なるものがあるのです。
いわゆるアイアンメイデン(鉄の処女)や首バイオリン、トゲのついたイスなど、拷問道具、処刑道具のオンパレード。メルヘンの対極をなす、中世の闇の歴史に触れてみませんか?

水攻めの檻がお出迎え

水攻めの檻がお出迎え

写真:澁澤 りべか

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ロマンチック街道の町、ローテンブルク・オプ・デア・タウバー(通称ローテンブルク)は、天狗の横顔のような変わった形の城壁に囲まれた中世都市です。その天狗の口元あたりに位置しているのが『中世犯罪博物館(Mittelalterliches Kriminalmuseum)』。
14世紀末に建てられたかつてのヨハネ騎士団の建物(18世紀に改築)を利用し、1977年に開館しました。4フロア2000平方メートルにわたり5万点にも及ぶ大規模な展示が行われています。ヨーロッパの1000年に及ぶ法制史を知る上で大変貴重なコレクションです。

博物館の入り口でまず訪問者を出迎えるのは巨大な鳥かごのような鉄の檻(写真)。かつてこの中に囚人を入れて川に沈めたり上げたりしました。
首と手首を木の板で固定するタイプのさらし台も屋外にあり、こちらは観光客が実際に頭や手を入れて記念写真を撮っています。気分は中世の囚人です。

館内を埋め尽くす恐ろしい道具

館内を埋め尽くす恐ろしい道具

写真:澁澤 りべか

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中に入ると、来館者はまるで刑事告訴された犯罪者になったかのように、刑事訴訟の一連の手続きを見せられます。調査から始まり刑罰の執行へと至る過程を、展示物を通して追体験するのです。
まず地下室で取り調べが行われます。ここには想像するだけで痛い拷問道具が。例えば「苦悩の梨」は口の中を広げる道具。歯が割れやがて顎が砕かれます。

2階以上では法律関係の証書、印章、メダル類、そして首と手首を同時に固定する「首バイオリン」をはじめとするあらゆる手かせ足かせ首かせ、また様々な刑罰の道具が陳列されています。
中でもユニークなのは恥辱を与える刑。例えば金属製のこっけいな表情をしたマスク「恥ずかしい仮面」(写真)をかぶって街を練り歩く、という刑罰がありました。下手な音楽家にはラッパ型の首かせ、大酒のみには酒樽のマントなど、些細な罪のためにいかに屈辱的な刑が科せられたかがよくわかります。現代人からすると思わず笑ってしまうものや、人権的道徳的にいかがなものか・・・と思うものも。
展示物の中には日本語の説明がついているものもあります。

「アイアンメイデン」とご対面

「アイアンメイデン」とご対面

写真:澁澤 りべか

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有名な「鉄の処女(アイアンメイデン)」は2階にあります。16世紀に使われていたこの木製の人形は観音開きになっており、内側には鋭いトゲが無数に生えています。ここに身持ちの悪い女性を押し込めてフタをしめるのです・・・。

この博物館のもう1つの目玉は悪名高い「トゲのある椅子」。座面も背もたれも肘置きもとにかくトゲだらけ。全身穴だらけになること請け合い。この椅子は2015〜2016年にかけて日本全国7会場で開催される『魔女の秘密展』でも展示されています。
このほか車裂きに使われた車輪、死刑囚の首をはねた斧や剣、死刑執行人が羽織ったマントなどが見られます。

最後に

当然ですが、ここは好みが分かれる博物館です。拷問道具の使い方を知って気分が悪くなる方もあるかもしれません。かなり見ごたえのある展示量ですので、隣接するカフェテリアで一休みしながら現実に戻るのもいいでしょう。
実は日本にも類似した博物館があります。御茶ノ水にある明治大学博物館の刑事部門です。鉄の処女や種々の拷問道具、ギロチンを見ることができます。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2011/08/20 訪問

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