富山駅北口にある環水公園と、富山港付近にある岩瀬カナル会館を結ぶ富岩運河。
その途中に中島閘門はあります。
中島閘門は日本でも珍しいパナマ運河方式を採用した閘門ですが、その心臓部とも言えるのが中島閘門操作室です。
操作室は、水位を調整して運河の船をスムーズに通行させる「閘門」をコントロールする場所のこと。
中島閘門本体とともにこの操作室も昭和9(1934)年に建設されました。
そして富山の水運に大きく貢献してきたのです。
しかし戦後になって、自動車社会になるに従い、富岩運河も衰退。
操作室も活躍の機会が激減し、荒れるに任せる状態になります。
しかし平成10(1998)年に操作室を含む中島閘門は国の重要文化財(近代化遺産)に指定されました。これは昭和の土木建造物としては全国初のことです。
その後、文化庁の助成と指導で平成20(2008)年から保存修理が始まります。
そして平成22(2010)年の8月、1934年創建当初の姿に復原されたのでした。
同時に、内部の見学もできるようになりました。
ただし、見学ができるのは運河クルーズの富岩水上ラインが運航される土日祝日のみ。
ということで、環水公園から運河クルーズ船sora(そら)に乗って、水路から中島閘門を訪問することにしました。
乗船しているガイドさんの説明を聞いてから、いよいよ操作室へと向かいます。
こちらが大理石パネルの操作盤。
創建当初のものがそのままの姿で残されています。
芝浦製作所(いまの東芝の前身)の製造です。
そして復原後の特徴の一つが、ガラス窓。
以前はアルミサッシでしたが、創建当時に忠実に木枠の窓ガラスになっています。
閘門の操作や治水のため、操作室には24時間体制で管理人が住み込んでいました。
こちらが管理人が使った浴室。
当時としては珍しい内風呂(建物の内に設けてある風呂)です。
便所は大小に分かれています。もちろん和式です。
台所には「たも」があります。
「たも」とは、木、竹、金属の枠に袋網をつけ、それに柄をつけた漁具のことです。
台所を出た外側には井戸の跡もあります。
当時の管理人の息づかいが聞こえてくるような気がしました。
管理人が寝泊りした和室です。8畳ひと間。
一人で住み込むには、充分な広さではないでしょうか。
床の間と押入れがついてます。
いまも誰かが暮らしているような雰囲気です。
この操作室、見学は無料というのがうれしいですね。
ただし、土日祝の10時から17時までの限定公開で
平日は内部に立ち入れないそうです。
この中島閘門および操作室ですが
周辺に駐車場がありません(やや離れた公園に駐車場有)。
私のように運河クルーズで訪れるか、
鉄道ファンなら富山ライトレールのポートラム「越中中島」駅からのアクセスがベターでしょう。
JR富山駅の北口にある「富山駅北」駅から5駅、10分で越中中島に着きます。
越中中島駅から中島閘門までは徒歩15分くらいです。
操作室を見学している間、
なんだか昭和の昔にタイムスリップした感覚にとらわれました。
日本初の昭和の近代化遺産で、
昭和へのタイムトラベルはいかがでしょうか。
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(2024/4/24更新)
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