ロシアの世界遺産「ペテルゴフ」はバルト海を望む水の宮殿

ロシアの世界遺産「ペテルゴフ」はバルト海を望む水の宮殿

更新日:2015/10/05 11:50

ペテルゴフ(夏の宮殿)はロシア帝国の首都であったサンクトペテルブルグの郊外にあり、18世紀にピョートル大帝が建設した夏の離宮です。
大宮殿と数多くの噴水がある広大な庭園は「サンクトペテルブルグ歴史地区と関連建造物群」として世界遺産に登録されています。
ロシア帝国をヨーロッパの列強と肩を並べる大国へと発展させたピョートル大帝。
今回は彼が情熱を注ぎ、愛した夏の宮殿をご紹介します。

バルト海を望む夏の宮殿

バルト海を望む夏の宮殿
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大北方戦争に勝利し、バルト海の覇権を手に入れたピョートル大帝は、1714年、フィンランド湾に面したペテルゴフの地に離宮の建設を始めます。
ピョートル大帝は建築やさまざまな工業技術にも高い関心を持っており、離宮の建設にあたってはヨーロッパから優秀な技術者を数多く呼び寄せ、また、彼自身も積極的に計画に関わりました。
宮殿が完成したのは1723年。彼が亡くなる2年前のことでした。

夏の宮殿は海に向かって階段状に低くなる土地に建てられています。
一番高いところにフランス式庭園、次にヨーロッパ風の大宮殿、そして、一番低い所にたくさんの噴水があることで人気の下の公園があります。

夏の宮殿のシンボル、大滝とサムソン像

夏の宮殿のシンボル、大滝とサムソン像
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大宮殿のすぐ下にあるのが、大滝と呼ばれる噴水。
金色に輝く像が建ち並ぶ、下の公園のシンボル的な存在です。中央にはライオンの口を引き裂こうとするサムソンの像があります。

この像は大北方戦争における対スウェーデン戦勝25周年を記念して1734年に作られました。
現在は像は19世紀に作り直されたものですが、怪力サムソンはロシアを、ライオンは強敵スウェーデンを象徴しているのだそうです。

下の公園には楽しい噴水がいっぱい

下の公園には楽しい噴水がいっぱい
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下の公園には大小さまざまな工夫をこらした噴水が点在しています。その数はなんと150以上。すべて土地の高低差を利用したもので、電力などは一切使われていません。
中には石畳のある石を踏むと水が飛び出る噴水や、ベンチに座ろうとするとずぶ濡れになってしまうという、いたずら心あふれる噴水も。

噴水のデザインにはピョートル大帝のアイデアがふんだんに盛り込まれているそうです。
偉大な功績を残したロシア皇帝ですが、意外といたずら好きだったんですね。

皇帝のお気に入り、モン・プレジール宮殿

皇帝のお気に入り、モン・プレジール宮殿
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写真の奥に見えるのが下の公園に立つモン・プレジール宮殿。
公園の中でもっとも海に近い場所にあり、フィンランド湾を一望できます。
夏の宮殿では一番最初に作られた建物で、ピョートル大帝は豪華な大宮殿よりも、簡素ともいえるこの小さな宮殿にいることを好んだとか。

「モン・プレジール」とはフランス語で「お気に入り」の意味。
ピョートルはお気に入りの場所でバルト海を眺めながら、ロシアのどんな未来を思い描いていたのでしょうか。
歴史のロマンを感じる場所でもあります。

おわりに

ピョートル大帝の夢はロシアをヨーロッパ諸国に負けない大国へと発展させることでした。
彼はヨーロッパの文化や技術を取り入れ、軍備を強化し、ロシアの近代化を推し進めます。
その晩年に着手した夏の宮殿の建設は、彼の夢の総仕上げといえるかもしれません。

ペテルゴフへはサンクトペテルブルグから高速艇で行くことができます。所要時間は30分ほど。高速艇の乗り場はエルミタージュ美術館前にあります。
また、下の公園で噴水の水が出るのは5月〜10月中旬頃までです。
とても広いので、散策を楽しみたい方は見学時間に少し余裕をみておくといいですよ。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/07/31 訪問

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