ご紹介する「割狐塚稲荷神社」は、静岡県東部の長泉町にあります。長泉町は、南北に縦長の地形で、富士山から直線距離で約30km離れた場所。こちらは神社の入口で、「割狐塚稲荷神社」と書いて「わりこづかいなりじんじゃ」と読みます。
ここから見た限りでは、何の変哲も無い普通の神社のようですが、幾つも立ち並ぶ朱色の鳥居が美しく、稲荷神社ならではの象徴的な眺めです。
鳥居をくぐって、参道を進むと本殿がありますが、ここはとある言い伝えが残る不思議な場所なのです。さぁ、参道を進んで、道のゾーンを探ってみましょう!
参道を進むと、神社の入口で見た平らな道と違い、打って変わってこの表情。
険しい大岩が剥き出しになった荒々しい地形で、まるで火山島に来たような不可思議な光景が広がっています。
冒頭でも言いましたが、ここは平坦な市街地にあります。先程の表情から想像も付かず「何故?」と思われた方もいるでしょう。
実は、「溶岩塚」と言う、周囲約80m、高さ10m程の小高くなった溶岩流跡の上に神社があるんです。
建物に覆われているせいもあって、市街地から山々は見えず、溶岩が流れ出そうな山は見当たりません。では、どこから流れ出た溶岩だと思いますか?
正解は、富士山です。およそ1万年前の富士山噴火で流れ出た溶岩なんです。岩に見える、ポツポツと開いた無数の穴があるのがお解り頂けるでしょうか? これは、千度以上あった溶岩に含まれた空気が逃げ出した際にできる穴で、溶岩であった証拠なんです。
神社から富士山は見られず、大部離れた距離にあるにもかかわらず、こんな場所まで影響を及ぼすなんて、自然の驚異を感じてしまいますよね。
人の背丈より、遥かに大きいこちらの岩。
参道を更に進むと、このような大きな岩が沢山見られ、この岩の亀裂に狐が住んでいたと伝えられています。
ある日、ここに住む狐が、猟師に射殺され、日照りが続いて凶作になったそうです。
そこで、人々が神社を建て、狐の大好物の油揚げを持ってお参りするようになったようです。この言い伝えは、溶岩流の表面が膨らんで表れた亀裂が狐の伝承に繋がったとされ、「割狐岩」と呼ばれる岩も残っているので、探して見ても面白いかもしれませんね。
この風景は、とても神社の境内とは思えず、まるで富士山にでも登山しているような気分になります。
こちらは、溶岩塚にある「割狐塚稲荷神社」の本殿です。
主に「宇賀御魂神」と言う、食物の魂の神様が祀られていて、家内安全・商売繁盛・交通安全など祈祷を行っているそうです。
富士山から流れ出た溶岩が作り出した岩々、岩の間から力強く生きた自然林に囲まれ、ここにいるだけでパワーを頂けそうな神秘的な光景。こんな中で祈れば、きっと良いご加護が受けれるはず!
如何でしたか?
割狐塚稲荷神社は、JR御殿場線「下土狩駅」から北東へ約300mの場所にあります。
伊豆半島ジオパークの見所の一つでもあり、拝観料は無料。
ご紹介した割狐塚稲荷神社は、自然が作り出した素晴らしい景色が見られる、貫禄ある見所。全国的に見ても、珍しいスポットではないでしょうか?
たまには、こんな場所に足を運んで心を研ぎ澄ます旅も良いかもしれませんね。
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(2024/4/19更新)
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