高野山・刈萱堂「密厳院」で宿坊体験!初心者にオススメ

高野山・刈萱堂「密厳院」で宿坊体験!初心者にオススメ

更新日:2017/11/09 11:44

高野山に多く存在する僧侶や参拝者のための宿泊施設を完備した寺院、宿坊。和歌山県伊都郡高野町高野山にある「密厳院」も宿坊のひとつで、特に初めて高野山で宿泊する人にオススメです。朝のお勤め体験、精進料理、部屋の広さ、価格設定など考慮すると素晴らしいコストパフォーマンス。哀切な物語の残る刈萱堂(かるかやどう)を含めて興教大師(こうぎょうだいし)覚鑁(かくばん)が開基した「密厳院」を紹介致します。

刈萱堂「密厳院」の創建と興教大師・覚鑁

刈萱堂「密厳院」の創建と興教大師・覚鑁
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「密厳院」は真言宗の中興の祖、また新義真言宗の始祖である覚鑁(1095年〜1143年)により、1132年(長承元年)に創建されました。後に焼失して再建、現在の寺院は、1931年(昭和6年)に改築されたものです。覚鑁はこちらで起居し修行をしていました。後に根来山(ねごろさん)に根来寺を創立して真言宗智山派、豊山派の基礎を定めたのです。

正当な継承者となる儀式、灌頂(かんじょう)を35歳の若さで受け、空海以来の優れた人物と称えられました。時を経て生前の功績を評価し授ける名前、諡号(しごう)として興教大師が贈られた、そんな誉れ高き真言宗の僧・覚鑁の縁の寺院が「密厳院」なのです。

落涙の物語「刈萱堂」

落涙の物語「刈萱堂」
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父親探しの長旅に出た母と息子。
当時、女人禁制であった高野山の掟により、母・千里姫は山麓の学文路(かむろ)という地名の宿に残り、父親探しに一人で向かった息子・石童丸。その途上で修行僧に出会います。実は父親・苅萱道心(俗名:加藤左衛門繁氏)でしたが、出家し世俗を離れた者の戒律により、親子であることを告げず、さらにひと言付け加えました。石童丸は下山し学文路の宿へと戻るが、長旅の疲労のために母は・・・。

上記のような粗筋ですが、父親・苅萱道心が出家した背景や息子・石童丸の下山の理由、その後の二人など、この刈萱堂内に展示された絵と文章にて詳しく説明がなされています。順を追って観覧していくと堂内を一周するといった仕組み。お守り授与所も設けられているので、宿泊の記念にこちらで、お土産の品を購入するのも良いでしょう。

風雅な中庭に面した広い和室

風雅な中庭に面した広い和室
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宿坊は2階建で大きく分けて3棟となっています。中央に池のある中庭を囲むように、コの字型の配置。室内は広く、一人では充分過ぎる程です。四人家族で丁度良いくらいの10畳の二間続きで、中庭に面して縁側も付いているので、より一層広く感じられます。

室内にバス・トイレはありませんが、廊下に出ると直ぐに洗面所及びウォシュレット付きのトイレがあるので安心です。御風呂は大浴場です。洗い場が5つ設けられています。御風呂、脱衣所ともに綺麗で清潔感が溢れています。

有り難や。美味なる精進料理

有り難や。美味なる精進料理
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精進料理というと質素で味気がないようなイメージがあるかもしれませんが、品数、分量ともに十分で美味です。特にお出汁の利いた「がんもどき」。口の中で溢れだす旨味に驚きます。また粒の大きい煮豆も、程良い甘味が舌の上で広がります。男性でも満足できる分量ですし、お櫃も一緒に用意されているので、おかわりも可能なので嬉しいですね。

本堂で行われる朝のお勤めである読経見学と法話を終えた後に、自室内で朝食となります。落ち着いた雰囲気の中で朝食を取ることが出来るので、ひとつひとつ味わって頂けるのも有り難いです。

宿坊といっても宿泊施設。でも、ひと味違うんです。

宿坊といっても宿泊施設。でも、ひと味違うんです。
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宿坊に初めて泊まる人は、少し戸惑いや不安があるかもしれませんが、こちらでは伝統的な旅館といった雰囲気で、サービスが行き届いています。御風呂の時間調整、施設や翌日の予定の案内など、とても丁寧な対応です。

施設内も古さを感じる部分はありますが、それは歴史であり、清掃がしっかりなされているので、趣きとなり、一般的な宿泊施設では味わえない良さを感じられます。
また前述した刈萱堂の物語に出てくる石童丸の母・千里姫之墓が密厳院の前にあります。隣接した刈萱堂を訪れ、その物語を知った後に是非、参拝してみて下さい。

高野山・刈萱堂「密厳院」のまとめ

一人で心静かに宿泊するのも良いですし、友人やパートナーと一緒に宿坊体験をするのも素晴らしい経験となるはず。弘法大師・空海が開創されてから1200年を経た高野山。また「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界文化遺産でもある高野山で普段とは、ひと味もふた味も違った一夜を過ごしてみてはいかがでしょう。特に宿坊の初体験の方にオススメの高野山・刈萱堂「密厳院」の御紹介でした。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/12/10−2015/07/31 訪問

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