国内最大級の砂丘湖!水面積はなんとすべて湧き水!佐潟

国内最大級の砂丘湖!水面積はなんとすべて湧き水!佐潟

更新日:2015/09/11 10:16

新潟駅から西へ約20km。東京ドーム約10個分の水面積を有する、国内最大級の砂丘湖です。環境保全区域内には貴重な生態系が維持されており、一歩足を踏み入れれば雄大な自然の中へと惹き込まれていきます。

喧騒から解放され、周囲を見渡せば、そこは日本の原風景を見ているよう。近年は水鳥の生息地として国際的に注目を集める一方で、この環境を持続可能なものにするため、地域住民による保全活動が続けられています。

冬には数千羽が飛来!見頃は12月中がお薦め!

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佐潟は砂丘のくぼ地に水が溜まった、日本の湖や沼のなかでも珍しい「潟湖」です。新潟市西区の赤塚地区に位置しており、1996年に「ラムサール条約」に登録されています。

ラムサール条約登録地としては、我が国で10番目に認定されました。冬には白鳥やヒシクイなど、水鳥数千羽が越冬地として飛来してきます。冬の時期(11月〜2月末)には公園内にある「佐潟水鳥・湿地センター」や野鳥観察棟からその様子を観察する事ができます。

佐潟は、上潟と下潟の2つの潟で成り立っており、周辺湿地部も登録対象になっています。例年、白鳥が最初に飛来するのは10月上旬ですので、この時期ならば防寒対策もそれほど気にしなくてもよさそうです。

姿を消す「潟湖」。その希少性を五感で感じる。

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県南西部に位置する佐潟は、白鳥の飛来数で全国1位です。佐潟、鳥屋野潟、福島潟の三つは県内の湖沼(潟)数の上位3湖となっており、1911年には約30の湖沼が存在しましたが、現在はその半分の15湖に減少しています。

南北は砂丘に挟まれ、東西には地下水が蓄積された低地が広がっています。流れ込む河川はなく、雨水と湧水が時間をかけてゆっくりと地下水へと精製されていきます。このような地盤が形成された過程は定かではありませんが、縄文時代以前に遡ると考えられています。

約44haという広大な面積ですから、肉眼で見える範囲はほんの一部です。センターを利用したり、双眼鏡や望遠カメラを持っていくことをお薦めします。

埋め立て計画も存在した、佐潟と住民の強い結び付き。

埋め立て計画も存在した、佐潟と住民の強い結び付き。

昔から潅漑用水池として、また漁場として、佐潟は地元の人々の暮らしにとって大切な場所でした。しかし、明治時代になると上流階級の人々に土地を譲渡し、県からの埋め立て要請を受け入れようという話がが持ち上がったそうです。

しかし、「我々にとって佐潟は生活の場だ」として、地域住民あげての反対活動が行われ、計画は中止されました。現在も佐潟には生活排水を流さない、湿地にはよその土砂を持ち込まない、というルールが昔から守られています。

現在の保全状況として、北西の季節風による飛砂や有機物の堆積による浅底化、水源である地下水の水質の悪化、来訪者などによって生じる人為的な生態系への影響などが懸念され、これらへの対応が喫緊の課題となっています。

徹底した管理のもとで保たれる佐潟の四季。

徹底した管理のもとで保たれる佐潟の四季。

佐潟には600種以上の植物と約200種の野鳥が確認されています。有名な冬の渡り鳥の飛来は、水鳥の生息地として貴重な環境条件であることを国内外に示すとともに、ラムサール条約以外にも、佐渡弥彦米山国定公園の特別地域、国設鳥獣保護区に設定されています。

そんななか、秋から冬にかけて一番多くやってくる水鳥が「ガンカモ類」です。なかでもコハクチョウは毎年、3000羽前後が越冬し、亜種であるオオヒシクイも多いときは1500羽飛来します。しかし、その水鳥たちを狙って絶滅危惧種に指定されているオジロワシやオオタカ、チュウヒなどの猛禽類もやってきます。この光景はいかに日本各地で本来の生態系が激減したかを物語っており、改めて環境保全について考えさせられます。

春には桜、夏にはハスやヒシ、冬は渡り鳥と四季折々の表情を見せる佐潟ですが、近年の生態系への危惧から行政や地元住民、NPOなどが連携して保全計画を進めています。

環境保全の必要性を肌で感じる。もしこの景色が失われたら。

湖沼なので当たり前のことなのですが、水面に咲くヒシやハスに太陽の光りが燦々と降り注ぐ光景は思わず息を飲んでしまうほどです。海や湖とは違い、湿地の中で様々な動植物が営みを維持していることだけでも貴重な環境といっていいでしょう。

遊歩道も季節によっては快適で心地良いと感じますが、真夏の炎天下では木陰に逃れてもかなりの暑さです。自然の生態系に我々が足を踏み入れるわけですから、その時期に合った服装を心がけたいものです。

移動手段としてはやはり車が便利です。JR越後線の越後赤塚駅からのアクセスも可能ですが、本数は限られており、できれば一日で他の「鳥屋野潟」「福島潟」のふたつを周っておきたいところです。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2015/08/23−2015/08/24 訪問

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