やすらぎの別天地!兵庫・加東市の古刹「清水寺」「朝光寺」を巡る

やすらぎの別天地!兵庫・加東市の古刹「清水寺」「朝光寺」を巡る

更新日:2015/08/28 11:09

東条湖の西、源平の古戦場三草山を囲むように西国二十五番霊場清水寺と朝光寺があります。交通の不便さからマイカー利用客以外には敬遠されるところですが、ちょっと郊外に足を伸ばすだけで開放的で心やすらぐ異空間がひろがっています。
忙しい人のちょっと息抜きにおすすめ。今回は、兵庫県加東市にある2つの密教寺院をご紹介いたします。

伝説のバラモン僧法道仙人開祖の清水寺

伝説のバラモン僧法道仙人開祖の清水寺
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「清水寺」の開祖は、インドからやってきた法道仙人と伝えられます。
この地はもともと水の乏しいところ。仙人が水神に祈ったところ、霊泉が湧出したところから清水寺と名づけられたとか。

推古35(627)年、推古天皇の勅願により根本中堂が建立され、仙人一刀三礼の秘仏十一面観音、脇士毘沙門天王、吉祥天女像を安置。
神亀2(725)年、聖武天皇が行基に勅願し大講堂を建立し、経典の講義をする道場として法灯を国中に伝えたと言われます。
また花山法皇西国巡拝の時に、この地を訪ね西国二十五番札場と言われるようになりました。

全山パワースポットの清水山内には是非徒歩で

全山パワースポットの清水山内には是非徒歩で
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山上寺院には仁王門手前の大駐車場(有料)まで車で登ることができますが、よほどの足弱でないかぎり、麓の車寄せに止めて丁石を辿りながら徒歩で登ることをおすすめします。
途中にはいわくつきの稚児岩や石仏が散見でき、緩斜面の木洩れ日の美しい参道を歩くほどに心がほぐれ、うっすら額に汗が滲む頃には大講堂に着きます。

大講堂には三尊像の後ろの廊下が宝物展示場となっており、寺院に伝えられてきた宝物が所狭しと並べられていて壮観。
院内のそこここにさりげなく飾られた軸物も密教寺院独特の雰囲気を醸し出しており、興味がつきません。

広い開放的な境内は山上の別天地

広い開放的な境内は山上の別天地
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広い境内は、四季おりおりの草花に満たされその合い間に地蔵堂、根本中堂、鐘楼、本坊客殿、あずまやの月見亭が点々と見事に配置されています。

根本中堂の左奥には寺名の由来となった滾浄水(こんじょうすい)が今も湧き出しており、ゆっくり巡っても30分とはかからない寺苑散策が至福の刻。
全山がパワースポットの山域で、世塵を払いしばし沈思黙考すれば、日頃の憂さが晴れて行くのを実感できます。
春には石楠花、そして加東市天然記念物指定の九輪草の群落がみられます。

写真は根本中堂。

世界にひとつ、加東遺産の国宝・朝光寺

世界にひとつ、加東遺産の国宝・朝光寺
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清水寺でリフレッシュしたら、少し足を伸ばして「朝光寺」もたずねましょう。
途中の田園風景と打って変わって荘厳きわまりない国宝の朝光寺が突然現れたときには「こんなところに大伽藍が」と誰しも驚かされます。

応永20(1413)年建立と伝えられる本堂は方七間の堂々たるもので、内部は本格的な密教寺院の粋を伝え、和様と唐様の折衷様式。
正面向拝が江戸時代に付け加えられたほか、多少の補修が加えられているとは言え、室町初期の典型的な遺構を今に伝える貴重なもの。

また鐘楼は創建こそ不詳ですが、鎌倉末期に赤松義村によって再建されたもので、箱棟を乗せた寄棟造りに袴腰という形態は、全国的にも珍しく貴重な遺構と言われています。

さてこの人影もまれな密教寺院。毎年の5月5日の鬼追踊の日だけは例外で、近郊の村人や観光客で一杯になります。重要無形民俗文化財に指定されたこの仮面舞踏は、室町時代に起源をもつものです。

伽藍に躍動感をもたらすつくばねの滝

伽藍に躍動感をもたらすつくばねの滝
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朝光寺の正面参道の南を流れる鹿野川に懸る小さな滝は、境内の周辺に果実が羽子板で突く羽根に似ているツクバネが多く自生することからつくばねの滝と呼ばれ親しまれてきました。
この植物は、播磨地方では大変珍しいもので、加東市の天然記念物に指定されています。
この可憐な瀑布と鹿野川のせせらぎの音が朝光寺の茫漠たる空間にリズムをもたらし、物いわぬ伽藍にもかかわらず、いにしえ人と対面しているような親近感を抱かせるのです。

さて、体力に余裕のある方は、この鹿野川に沿って北へ向かい源平の古戦場・三草山(423.9m)を目指しましょう。

頂上には京都の北野天満宮から勧請された道真公を祭神とする三草山神社があり、晴れた日には明石海峡大橋から淡路島までが一望できます。

おわりに

アクセスは以下の通り。
【清水寺】 
JR福知山線相野駅から神姫バスで30分
マイカーは中国自動車道・ひょうご東条ICより20分
【朝光寺】 
神姫バス三田西脇線の社で三田行きに乗り換え、朝光寺口下車、徒歩50分
マイカーは中国自動車道・ひょうご東条ICより15分

ふたつの寺院を巡るにはマイカーがなんといってもおすすめですが、近郊にあって人影まばらな貴重なスポット。ぜひトライしてみてください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2015/08/03 訪問

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