三御門復元完了!加賀百万石の名城・金沢城の魅力とは!?

三御門復元完了!加賀百万石の名城・金沢城の魅力とは!?

更新日:2015/08/19 17:15

浦賀 太一郎のプロフィール写真 浦賀 太一郎 週末トラベラー
北陸の小京都・金沢は、加賀百万石の城下町と言われています。
兼六園、ひがし茶屋街、長町武家屋敷などなど、金沢には魅力あふれる観光スポットがたくさんあります。
江戸時代、大いに賑わった金沢の中心地が、何を隠そう金沢城でした。
今回は、国指定史跡であり、日本百名城にも選定されている、加賀前田氏の居城、金沢城の魅力を紹介いたしましょう!

金沢城ってどんなお城?

金沢城ってどんなお城?

写真:浦賀 太一郎

地図を見る

日本全国六十余州。三百諸侯。などと謳われる江戸時代の日本ですが、加賀金沢藩は、その中でも120万石を擁する巨大都市でした。
その規模は、石高で二位に50万石以上の差をつけ諸侯ぶっちぎりの第一位で、かの「徳川御三家」をも遥かに凌いでいます。

加賀百万石の巨城・金沢城は明治時代に入ると城郭としての役割を終え、旧陸軍の司令部が置かれ、第二次大戦後は金沢大学のキャンパスになっていました。
平成に入り金沢大学が移設すると、「金沢城公園」として、復元整備事業が着工。現在も調査・整備・復元が進められています。

まず重要文化財の石川門、鶴丸倉庫、三十間長屋を押さえよう

まず重要文化財の石川門、鶴丸倉庫、三十間長屋を押さえよう

写真:浦賀 太一郎

地図を見る

金沢城には、江戸時代から残る貴重な遺構が三件あります。
兼六園側からの金沢城公園入口に残る「石川門」は有名です。
整然と並ぶ四角い瓦に白漆喰が塗られている「なまこ壁」が金沢城の城門の美しさの秘訣ですが、これは防火・防水のための細工で、機能美と言えるものです。
石川門は現在の金沢城のシンボルといっても良く、重厚な枡形構造になっています。
枡形とは、敵が攻め難いように、入口をコの字型にし、勢いを削ぐ仕組みのことです。
元々は搦手(からめて)という、お城の裏手にある城門でしたが、今日では金沢城の数少ない現存建造物として、国の重要文化財に指定され、兼六園の近くともあって、金沢城公園への玄関口となっています。

意外と知られていませんが、「鶴丸倉庫」と「三十間長屋」も城内に現存し、同じく重要文化財に指定されています。
鶴丸倉庫は、幕末に建造された武具を納める土蔵で、城内に残る土蔵としては国内最大級の遺構で希少価値の高さが評価されています。
三十軒長屋は、もとは食器類を納めた倉庫でしたが、江戸中期に火災で焼失した後、幕末に再建され、武器庫として使用されました。

城門や現存建造物などの場所がわかる城郭マップは城内各所に設置されています。
また「金沢城と兼六園」ホームページからもダウンロードでき、持ち歩くととても便利です。

ちょっとマニアック?金沢城は石垣博物館!

ちょっとマニアック?金沢城は石垣博物館!

写真:浦賀 太一郎

地図を見る

金沢城の一大特徴として、石垣の多彩さが挙げられます。
藩祖・前田利家は「傾奇者(かぶきもの)」として戦国時代に名を馳せた武将でしたが、その城も利家の性質を受け継ぎ、非常に「かぶいた」意匠になっているのです。

多くの場合、城の石垣は築城の年代によって、技術の進歩などで変わってくるものですが、金沢城では造営の年代が近い石垣でも、あえて積み方を変えることによって、「がぶいた」、今風に言えば「オシャレ」で「イケてる」、城郭を目指していたのです。
もちろん防衛や防火、防水、魔除けなどの機能を備えた石垣もあり、陰陽道の影響を受けたとされる「亀甲石(きっこういし)」や「鏡石(かがみいし)」。石材業者や施工業者の刻印が押された「刻印石垣」などもあり、石垣巡りだけで一日を過ごせてしまうのではないかと思うほどの多彩さです。

特に、平成27(2015)年に復元された玉泉院丸庭園の「色紙短冊積石垣(しきしたんざくづみ・写真)」は、色紙(方形)や短冊(長方形)の石が複雑に組み込まれた、金沢城でしか見ることのできない、大変珍しい石垣です。
基本的な石積みである「野面積(のづらづみ)」、「打込接(うちこみはぎ)」、「切込接(きりこみはぎ)」はもちろんのこと、城の外郭に残る石垣にも独特の積み方が見られますので、金沢城を極めたい方はじっくり構えて城の内外を巡るのがおススメです。

石垣めぐりに便利な案内は城内外に設置されています。
「金沢城公園」ホームページにも詳しく、「金沢城石垣巡り」パンフレットもダウンロードができます。

平成の大普請!復元される城郭に注目せよ!

平成の大普請!復元される城郭に注目せよ!

写真:浦賀 太一郎

地図を見る

平成27(2015)年3月、「橋爪門」の復元が完了し、「金沢城三御門」が全て整いました。
「金沢城三御門」とは、金沢城の城門の中でも、特に重要とされていた三つの城門のことで、先に紹介した重要文化財の「石川門」、平成22(2010)年に復元された「河北門」、そして「橋爪門」が完成し、江戸時代の金沢城三の丸の景観が現代に甦りました。

整備にあたっては、様々な歴史的資料に基づいて史実に忠実に復元されており、橋爪門二の門(写真左側)の敷石は、進行方向に対し斜め45度に敷く「四半敷き」という工法が用いられ、前田家の城に対する美意識の真骨頂を見ることができます。城門の見事さに気を取られ過ぎず、ぜひとも足元の敷石に注目して下さいね!

三の丸広場からは、平成13(2001)年に復元された菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓が一望でき、櫓群の全体像をカメラに収められる金沢城公園屈指のビュースポットになっています(一枚目の写真です)。

本物志向の金沢城は、これからも注目!

史実に沿った忠実な復元が進む金沢城。
苔むした古城の雰囲気を楽しむなら、今のうちかもしれません。
ビル街や郊外にひっそりと残る惣構え(城下町全体を囲った城郭の外側)の遺構など、「金沢城跡めぐり」の魅力は、実はまだまだたくさんあります。

皆さんも金沢にお越しの際は、「北陸の小京都」の中心・金沢城跡に立ち寄ってみて下さい。お城初心者の方も、お城マニアの方も、気軽に楽しむこともできますし、マニアックに楽しむこともできますよ!

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/08/02 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -