写真:鷹野 圭
地図を見るアオバトに会いたいのなら、まずは東海道線で大磯へ!
大磯ロングビーチで有名な街ですが、駅はご覧の通り山の麓にあり、自然豊かな立地です。アオバトのいる照ヶ崎海岸はここから大体徒歩15分といったところ。炎天下で歩くのは酷かもしれませんが、大磯の街並を見ながら歩くのも乙な楽しみ方です。
駅前の観光案内所では色々情報が入手できますので、照ヶ崎に向かう前に必ず立ち寄っておきましょう。ちなみに大磯町のマスコットキャラクター「いそべぇ」はこれから探しに行くアオバトがモチーフ。町のWebサイトでも大々的に紹介されており、アオバトが街の貴重な“宝物”であることがよくわかります。
写真:鷹野 圭
地図を見るここがお目当ての照ヶ崎海岸。
日本の渚100選にも選ばれている名スポットであり、「アオバトの集団飛来地」として神奈川県の天然記念物にも指定されています。
写真は5月末頃の場面。暖かい陽気ですと、この頃から海水浴客が集まることもあります。この写真の奥に見える小さな岩場こそ、アオバトの飛来するスポットなのです。写真のように磯遊び目当てで人が立ち入ってしまうとさすがにハトは降りてきませんが、離れてしばらく待っているとやがてどこからともなくやってきます。
三脚を構えている人がならんでいますが、もちろんこの人たちのお目当てもアオバト。中には地元で長らくアオバトの観察や研究を続けているボランティアグループの方もいらっしゃいます。ちなみにプールの近くにある堤防の上は展望スペースとなっており、海を眺めつつアオバトの飛来も確認できますが、さすがに距離があり過ぎますので、特に撮影をしたいのであれば必ず海岸線に降りるようにしましょう。
ちなみにすぐ近くには、この辺りが海水浴場発祥の地であることを示す碑が設置されています。それほど昔から人が多かったにもかかわらず、どうしてアオバトは毎年のようにここに飛来するのでしょうか?
写真:鷹野 圭
地図を見るいよいよ現れました。これがアオバトです。
見ての通りオリーブ色が主体の美しいハトで、夏の大磯の風物詩。ここに写っているのはごく一部で、多い時には100羽を超える大群で飛来することもあります。
一体何をしているのかというと、岩場の隙間や窪みに溜まった海水を飲んでいるところ。「海水なんか飲んだら喉が渇くんじゃ?」と思われがちですが、どうやらミネラル分(ナトリウムなど)をここで摂取しているようです。水もそうですが、ミネラルが必要なのは人もハトも同じこと。「だったら他の海岸でもいいのでは?」という気もしますが、毎年コンスタントにお目にかかれるのはなぜか照ヶ崎海岸だけ。まだその理由はハッキリとしていないそうです。
飛来してから岩場に留まる時間は、ほとんどの場合は1分足らず。とまる位置によっては満足なシーンが撮れないことも多々あるでしょう。しかし、飛び去った後も待っていれば十数分〜1時間程度で戻ってくることがほとんど。他のバードウォッチングと比べればかなり高頻度で観察できますので、諦めずに待ってみましょう(ただし炎天下では熱中症に要注意)。ちなみに待機する時は、立ちっぱなしでなく屈んだり椅子に座ったりして姿勢を低くするのがポイント。こうするとアオバトの警戒心が薄らいで飛来しやすくなり、疲労も和らいで一石二鳥です。
写真:鷹野 圭
地図を見る胸を張って岩場に立つ姿も、首を突っ込んでゴクゴクと海水を飲む姿も可愛らしいアオバト。ちなみに照ヶ崎に集まるベテランのバードウォッチャーの皆さんは、岩場に波が打ち付けて飛び立つ瞬間のアオバトを狙うようです。白い波しぶきをバックに岩場から群れで羽ばたく姿は、首都圏では恐らくここでないと撮れない名シーンです。ちなみに曇り空だと空も海も青味が薄く、どうやっても美しい絵が撮れないので、暑さや日焼けが気になるところですが晴天時に行くのがおススメです。
ここで一点注意していただきたいことがあります。
波の打ち付ける海岸線というだけあり、ここ照ヶ崎では頻繁に潮風を浴びることになります。身体がべた付くのはもちろんですが、それ以上に厄介なのがカメラや双眼鏡のレンズが頻繁に潮をかぶること。潮をかぶると写真が色褪せてしまい、何より精密機械には悪影響を及ぼしますので、こまめにふき取るようにしましょう。写真は、レンズに潮をかぶった状態で撮ったアオバトの飛翔シーン(汗)。せっかく青空も、これでは美しさ大幅ダウンです……。海のバードウォッチングでは避けられない課題といえますね。
上記の通りアオバトは一度飛び立ってしまうと、次に訪れるまでにブランクがあります。この間はただボーッと待っているのももったいないので、周囲を見回して別の鳥を探してみましょう。海辺の定番であるカモメやトビはもちろんですが、沖合に目を向けると大きな鳥が群れて飛んでいるのが見られるはず。これはオオミズナギドリといい、アオバト以上の大群で例年大磯の沖合に現れます。ちょうどアオバトと同じ時期に姿を現すため、セットで観察してみるのも乙な楽しみ方です。ただ、かなり距離がありますので双眼鏡や望遠レンズなどがないと、鮮明な姿を楽しむのは難しいかも?
写真:鷹野 圭
地図を見る写真は大磯港西防波堤灯台。厳密にいうなら照ヶ崎海岸の南東端に位置し、OISOのロゴがよく目立ちます。さらにロゴの下には、向かい合った2羽のアオバトの絵が! さすがは大磯町のマスコットです。
しかし大磯町は、決してアオバトと海だけの町ではありません。意外なことに、史跡や寺院などがたくさんあります。駅から照ヶ崎に向かう途中でも、少し寄り道すれば島崎藤村の旧家や墓所がある地福寺、大運寺、延台寺、神社などの名所を見て回れます。さらに駅前には、三菱財閥創業者・岩崎弥太郎の孫娘にして多くの混血孤児を守り育ててきた慈善事業家である澤田美喜氏の記念館もあり、隠れキリシタンにまつわる数々の展示を観ることができます。海辺の町という印象があまりに強い大磯町ですが、中世〜近代にかけての様々な歴史・文化に触れられることも見逃せません。海辺とは違う“自然”に触れたい方なら、駅の反対側へ。目の前に大きな森を有する羽白山が聳え、ちょっとしたハイキングにピッタリです。
アオバトウォッチングにどっぷり1日をかけるのもいいですが、もし時間に余裕がありましたら、街中をぶらりと歩き回ってみてください。大々的にPRされていない、隠れた名所やお気に入りスポットが見つかるかもしれませんよ。
夏にだけ、ごくごく限られた岩場に群れで飛来するアオバト。理由はいまだにハッキリとは分かっていないらしく、それだけにどこか神秘的なものを感じます。照りつける太陽の下、涼しげな青色の羽を羽ばたかせて訪れるアオバトは、時に波にさらわれて命を落としてしまうこともあるとか。それでもなお毎年のように彼らはここを訪ね、必死に海水を飲み続けます。時には、羽につけて巣に持ち帰ることもあるそうです。
これだけのアオバトがごく普通に見られるのは、首都圏では照ヶ崎海岸だけ! 暑さが身に応えますが、ぜひ一度、海・空・鳥が織りなす“夏だけ”の不思議で魅力的な光景をお楽しみください!
【アクセス(照ヶ崎海岸)】
JR大磯駅より徒歩約15分
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/4/25更新)
- 広告 -