写真:村井 マヤ
地図を見る矢掛(やかげ)宿が設置された正確な年代は不明ですが、1615〜42年の頃で、備中松山藩池田氏の頃に設置され、元禄時代初期の1690年代の幕府直轄領時代にかけて整備されたようです。
近世山陽道を西国街道と表現することもありますが、岡山県内や広島県東部の福山などでは、一般的に西国街道という表現は使わず、旧山陽道という表現をします。これは、現代において岡山県岡山市から広島県福山市にかけての国道2号線は、かっての西国街道と並行ではなく鴨方往来(*)という海岸線に並行したルートのため。
江戸時代の参勤交代の大名行列は、500名から600名の大所帯でしたから、当然本陣だけでは賄いきれず、宿場町全体で請負いました。本陣には30名くらいが宿泊できたそうですから、残りの家中の方々は、お寺や町家に宿泊したのです。
矢掛には、石井家が勤めた矢掛本陣と高草家の脇本陣がありました。今でも、両本陣は現存しており、見学も可能。
江戸時代とほぼ同じ旧山陽道沿いに、宿場町の面影を残した町並みは、気品さえ感じさせます。
今回ご紹介する「矢掛屋」は、本陣と同じ区画にあり、敷地は旧山陽道から小田川沿いの国道まで細長い。国道沿いの長屋門は、増築された部分の門ですが、これがまた風情があります。
この宿はまた、歴史ある宿場町の伝統的な町家建築を今に残す素晴らしい佇まいです。例えば、写真の「矢掛屋」本館の表玄関をご覧ください。
伝統的な本瓦葺、虫籠窓(むしこまど)、平格子、軒裏の出桁造りなどが見受けられますよ。さあ!江戸の風情が残る「矢掛屋」へ一歩足を踏み入れてみましょう。
*鴨方往来・・別名備中浜街道で、内陸部を通る山陽道(西国街道)に並行して海岸よりを通る街道。
写真:村井 マヤ
地図を見る矢掛屋は、本館と別館からなっており、本館には客室のほか、和食レストラン、カフェ、バーなどがあります。
別館には客室、温泉施設、イタリアンレストランなどがあり、温泉や岩盤浴でリラックスできます。
写真は、別館の客室及び風情あるアプローチ。一番奥が温泉施設になっており、炭酸カルシウム温泉と岩盤浴が楽しめます。温泉では、矢掛の特産・和ハッカ(4月〜9月)と柚子湯(10月〜3月)でアロマ効果を満喫。
日帰り入浴料金やご利用時間につては、下記MEMOをご覧ください。
写真:村井 マヤ
地図を見る写真は、本館和食レストラン「花鳥風月」で頂けるランチ(1700円/税込)。このほか会席膳などもありますよ。
個室の宴会場が3会場あり、10名から40名くらいまで対応できます。
元々は離れか何かだった建物をレストランにしているようで、和室の欄干などが美しく、江戸時代の暮らしぶりが伝わるお部屋。
そんな素敵な食事処を、女友達やパートナーとの会食、ご家族の記念日などにご利用になると、素敵な思い出が作れそう♪もちろん、ディナーも素敵ですよ。
写真:村井 マヤ
地図を見る「矢掛屋」は全15室(本館SUITES:6室、別館INN:9室)で、最大で48名様の宿泊が可能です。
写真は宿泊スペースの雰囲気。奥の長屋門(こちらは増築された門のようです)は、国道側からの入口になり、長屋門の左側もお部屋になっています。向かって右側の1階は「カフェ嵐山」で、2階部分はリラックススペースになっており、マッサージが受けられます。
本館は、伝統的な町家のつくりで、また参勤交代の大名の家来たちが宿泊したお屋敷だけあって、貫録ある素晴らしい建物群。
フロント・ロビーを抜け、「BAR胡」、宴会場「広重」を抜けると中庭に出ることができます。時代を感じさせる井戸があり、その右手には蔵を改装した「大名通り」と名付けられたショップスペース及び展示スペースがあります。
「矢掛屋」の前身のお屋敷にあった所蔵品や家具なども展示されており、他にも古道具や家具などの販売、お土産、名産品の販売も行われています。歴史的価値の高い物も展示されています(矢掛屋とは関係なく収集されたものもあり)。
この大名通りの手前に昇降機が設置されており、車いすの方は、昇降機を利用し、大名通りを抜けて宿泊スペースに行くことができます。
また、大名通りの向かいには、「THE KURA」という離れ個室があり、ちょっとした会議や家族だけの食事などにご利用いただけます。蔵の中ですので、エアコンを利用しなくてもひんやりしています。
古いお屋敷で、中庭と宿泊スペースの間に大きな長屋門があり、それが宿泊スペースとの区切りになっています。長屋門と長屋門に挟まれた宿泊施設。ここだけは、なんだか静かな空間で誰にも邪魔されない雰囲気が魅力です。
写真:村井 マヤ
地図を見る写真のお部屋は、一番奥の“山桜”は、2階建てのお部屋で、ベットが3つもあります。実は、他のお部屋も、バリアフリーの“黒竹”以外、ロフトなどがあり、ご家族での利用を想定されています。また、お部屋にはバス・トイレはもちろん、簡単な料理ができるキッチンスペースもあります。(*鍋などの調理器具は備え付けられていませんが、レンタル可能)
「倉敷の奥座敷」と呼ばれる矢掛の町を堪能してもらうため、連泊できるようにとの配慮です。基本的には1泊2食付ですが、もちろん朝食のみというプランもあります。
お友達など4名くらいでご利用になられると、お得に古民家宿泊ができますよ。
古民家といっても歴史ある商家のお屋敷。長屋門の上のお部屋(写真)“山桜”に見られるように、大きな梁や骨組みの柱などは当時のもので、時代を感じさせ、ふとした所に上品さも・・。
また、意外に広いお部屋に驚かされます。昔は、ここに門番などが寝起きしていたのでしょうか・・。想像したらなんだか楽しくなりますよね。
矢掛屋に宿泊したら、矢掛宿の本陣は見学しましょう。旧矢掛本陣は、月曜日以外は毎日開館。旧脇本陣は、土日のみ見学可能です。
また、以前は和ハッカの産地だった矢掛町。矢掛の新たな名物にするため復活され、飴やアイス、お酒なども作られています。その蒸留所が、「矢掛屋本館」のお隣にありますから、是非見学してみて下さい。意外な歴史を知ることになるかも・・。
お土産品としては、あの天璋院篤姫が購入したと言われる「柚餅子」も有名。実は、篤姫様が将軍家にお輿入れの際、矢掛本陣に宿泊されたという記録が見つかったそうです。これは、一日ではもったいない!やっぱり宿泊してじっくり矢掛町を観光しましょう♪
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(2024/3/29更新)
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