日本のエーゲ海・牛窓の魅力は、昭和の面影を色濃く残す町並みにもあり!

日本のエーゲ海・牛窓の魅力は、昭和の面影を色濃く残す町並みにもあり!

更新日:2015/07/28 14:26

磯本 歌見のプロフィール写真 磯本 歌見 フリーライター、ご朱印ガール、仏像マニア
美しい瀬戸内海の景色が望める牛窓は、リゾート地や恋人の聖地としても有名。日本のエーゲ海と呼ばれる景観も魅力ですが、昭和の風情をしっかり残すレトロな港町の通りをのんびりと歩くのもオススメです。「しおまち唐琴通り」は、牛窓町東部に位置する町並みです。朝鮮通信使にまつわる本蓮寺や御茶屋跡、旧牛窓銀行、燈籠堂跡など、伝統的建造物や遺跡が点在しています。心地よい潮風を感じながら、ゆっくり散策してみませんか。

元警察署の建物は和洋折衷で国の登録有形文化財

元警察署の建物は和洋折衷で国の登録有形文化財

写真:磯本 歌見

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まずは「しおまち唐琴通り」の西の端にある海遊文化館に行ってみましょう。

金色の警察紋章も凛々しい海遊文化館の建物は、明治20年(1887年)に牛窓警察署庁舎として建てられました。この建物は、昭和52年まで警察署として実際に使用されていて、長年、陸・海の治安維持の役割を担ってきました。
蛇腹とフリーズで構成された玄関やポーチを支える木柱や窓枠に欧米建築の細工を施していますが、屋根は桟瓦葺、造りは和小屋組という和洋折衷の建物で、国登録有形文化財の指定を受けています。

館の前に根付くソテツは、江戸時代から牛窓の変遷を見守りながら、葉を広げています。

朝鮮通信使や船形だんじりの資料館

朝鮮通信使や船形だんじりの資料館

写真:磯本 歌見

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まずは「だんじり資料室」へ。
牛窓神社秋祭り「だんじり巡行」で実際に使われているだんじり(山車)2基を展示しています。町内には、展示品も含め、岡山県重要有形文化財に指定されているだんじりが8基あり、いずれも日本では珍しい船形だんじりで、江戸時代から明治時代初期に作られ、中国の「四霊(麒風亀竜)」などをモチーフにしています。

向かって左側に展示されている「御船だんじり」は、楠、欅造りで、彫刻は質素ですが船体は黒漆塗りに金色の菊のご紋があり、気品高い豪華さがあります。
また右側は「獅子だんじり」。欅造りの船形だんじりで、頭部は獅子、後部は魔除けの大天狗面が彫られています。

牛窓神社秋祭りの様子も、映像や写真パネルで紹介されていて、臨場感も高まります。

「朝鮮通信使資料室」には、朝鮮通信使の文化遺産や華やかなる使節団をジオラマで再現・展示しており、当時の様子が伝わります。

朝鮮通信使の接待所となった由緒正しき寺

朝鮮通信使の接待所となった由緒正しき寺

写真:磯本 歌見

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朝鮮通信使は、慶長から文化年代、江戸時代200年余りの間、徳川将軍の襲職慶賀などのために12回朝鮮から訪れた使節団。江戸往来の途中、牛窓へ15回寄港、9回宿泊しています。

三重塔が美しい本蓮寺は、朝鮮通信使の接待所となった法華宗の寺です。通信使の中心的な役割を担う三使の宿館として4回利用され、寄港の度に接待する岡山藩の中心的な施設となっていました。境内は、朝鮮通信使遺跡として国の史跡に、また、本堂、中門、番神堂は国の重要文化財に指定されています。

朝鮮通信使が使用した客殿には、小堀遠州作といわれる庭園があり、見学は要予約です。

国登録有形文化財が立ち並ぶ通りをのんびり散策

国登録有形文化財が立ち並ぶ通りをのんびり散策

写真:磯本 歌見

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東に向かって歩くと、昭和にできた旧牛窓郵便局をカフェにした「牛転(うしまろび)」、明治時代に武家屋敷構えで建てられた「長屋門」など風格ある建物が点在しています。昭和35年頃まで操業していた造り酒屋、「高祖酒造の発祥蔵」は、主屋のほか、蔵座敷・圧搾蔵とも創業当時(天保年間)の建造。昭和7年ごろ建てられた煉瓦煙突は牛窓港の「赤煙突」として親しまれています。こちらは、3棟(主屋・蔵座敷・圧搾蔵)、1基(煙突)、1所(井戸及び洗い場)が国登録有形文化財の指定を受けています。

さらに東に進むと「街角ミュゼ牛窓文化館」へ。これは大正4年に牛窓銀行として建てられ、後に中国銀行牛窓支店として昭和55年まで使われた建物。ドイツ製赤煉瓦の外壁、漆喰白モルタルの内壁、草花連続模様の天井は、20世紀初頭の銀行の格式をよく維持しており、この種の建築としては全国でも珍しい存在で、平成9年に国登録有形文化財の指定を受けました。現在では、地域の歴史文化を保存・公開・伝承する施設として、観光客や地元の人の憩いの場になっています。

やっぱり外せない牛窓のうまい魚

やっぱり外せない牛窓のうまい魚

写真:磯本 歌見

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せっかく牛窓に来たんだから、旬の魚料理は外せない!

通り沿いには、ランチメニューも豊富な寿司店や、瀬戸内の天然魚だけを活き造りする瀬戸内活魚料理専門店、水産会社直営店、ギャラリーや雑貨屋も併設した施設など、新鮮な瀬戸内の魚を楽しめる飲食店が多彩にそろっています。

観光センター「瀬戸内きらり館」には、飲食店の案内チラシやパンフレットを置いているので、チェックしてから散策するのもいいでしょう。

最後に

しおまち唐琴通りやその周辺は、今村昌平監督の「カンゾー先生」(1998)、「黒い雨」(1989)、「釣りバカ日誌18」(2007)などのロケ地になるような風情あふれる町並み。

懐かしさあふれる通りと美しい海、そしてその合間においしい魚料理、いろいろ楽しめるレトロな港町・牛窓を満喫してみてはいかが。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2015/07/05 訪問

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