幻想的な灯りのもとでお参り!奈良町(ならまち)「地蔵盆」

幻想的な灯りのもとでお参り!奈良町(ならまち)「地蔵盆」

更新日:2023/06/14 13:13

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
興福寺や猿沢池の南方に広がる奈良の旧市街地「奈良町(ならまち)」。その界隈の夏の風物詩といえば、「地蔵盆」を挙げないわけにはまいりません。地蔵盆の夜、奈良町界隈では各所にまつられたお地蔵さまに老若男女が集い、大いに賑わいます。仏像の特別拝観や「数珠繰り」などの珍しい行事に参加出来るのも大きな魅力。今回は誰に対しても門戸が開かれている奈良町の地蔵盆をご紹介しましょう。

7月23日にとりおこなわれる奈良町界隈の地蔵盆

7月23日にとりおこなわれる奈良町界隈の地蔵盆

写真:乾口 達司

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地蔵盆(地蔵会)は、特に関西地方を中心にしてとりおこなわれている宗教行事。その名のとおり、お地蔵さまを供養する法要であり、奈良町界隈では、毎年7月23日にとりおこなわれます(元興寺極楽坊の地蔵会のみ8月23日)。

写真は菊岡漢方薬局横のお地蔵さま。奈良町では、ご覧のように、街の辻などに多くのお地蔵さまがまつられています。地蔵盆の当日は各地区の方々が提灯を飾り付けたり、お供えをしたりしてお地蔵さまをおまつりしますが、夕方になると学校帰りの子どもたちも集まって来て大いに賑わいます。

お地蔵さまが子どもたちの守護神として信仰されていることからいっても、地蔵盆の主役はやはり子どもたちといえるでしょう。実際、お地蔵さまのもとに集まって来た子どもたちは、くじ引きやゲームに興じたりして楽しいひとときを過ごします。当日、奈良町を訪れたら各地区をめぐり、子どもたちの活き活きとした様子にも目をやりながら、地蔵盆を楽しみましょう。

衣服の着せ替え!?伝香寺の地蔵会

衣服の着せ替え!?伝香寺の地蔵会

写真:乾口 達司

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では、地区ごとにまつられている地蔵盆をいったいどこから拝観すればいいのでしょうか?そう思っている人も多いことでしょう。お勧めは近鉄奈良駅から徒歩5、6分の場所にある伝香寺の地蔵会から。実はこの伝香寺では、当日の夕方、本堂に安置された地蔵菩薩立像の着せ替え行事がおこなわれるのです。ご覧のように、実際に衣装を身にまとった仏さまも珍しいですが、その着せ替えの様子が拝観できるなんて、さらに珍しいですね。

奈良町界隈を代表するお地蔵さま!福智院の地蔵盆

奈良町界隈を代表するお地蔵さま!福智院の地蔵盆

写真:乾口 達司

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奈良町界隈を代表するお地蔵さまといえば、高さ7メートルにもおよぶ福智院の地蔵大仏も忘れてはなりません。もちろん、当日は福智院でも地蔵盆がとりおこなわれます。写真は地蔵大仏の前で僧侶が読経している様子を撮影した一枚。この頃にはすでに本堂の周りは多くの家族連れで賑わっています。読経がすむと、さまざまなもよおしがおこなわれます。

これは何!?西光院の「数珠繰り」

これは何!?西光院の「数珠繰り」

写真:乾口 達司

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地蔵盆と切っても切れない関係にあるのが「数珠繰り」という行事。数珠繰りとは、長くて大きな数珠をまわして、お地蔵さまの功徳を得ようとするもの。地蔵盆の主役が子どもたちであることもあり、たくさんの子どもたちやその保護者が輪になってすわり、数珠をまわし続けます。

写真は西光院でとりおこなわれる数珠繰りですが、もちろん、誰でも参加させていただけるので、子どもたちに交じって数珠繰りをおこないましょう。

提灯の明かりが幻想的な十輪院

提灯の明かりが幻想的な十輪院

写真:乾口 達司

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夕闇迫る頃からとりおこなわれる地蔵盆のもう一つの魅力は、お地蔵さまのためにとりつけられた提灯の灯り。写真は十輪院の本堂(国宝)を外側から撮影したものですが、普段、日中しか拝観出来ない本堂とその周囲を飾る提燈の灯りが幻想的で、夏の夜のひとときを強く印象付けています。夜のふけるまで奈良町の地蔵盆を堪能しましょう。

奈良町界隈の地蔵盆をめぐろう!

奈良町の地蔵盆がどのようなものか、おわかりいただけたでしょうか。今回はおもに大きな寺院の地蔵盆をご紹介しましたが、もちろん、各地区にまつられた小さな地蔵堂でも地蔵盆がとりおこなわれます。当日の夜は奈良町界隈をそぞろ歩きし、各所にまつられたお地蔵さまにおまいりください。

2023年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/07/23 訪問

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