「カーリエ博物館」は、もとはキリストに捧げられた聖堂で、コーラ修道院と呼ばれていました。
創建は6〜7世紀に遡るといわれます。
しかし、オスマン朝時代にイスラム教のモスクとなり、名前もカーリエ・ジャミィと変わりました。
やがて、20世紀半ばに内部のモザイク画やフレスコ画が修復され、現在は博物館として公開されています。
外見は小さな聖堂ですが、中に入るとその豪華さに圧倒されます。
モザイクが最も多く残っているのは、本堂の手前のナルテクス(玄関間)とよばれる空間。
ナルテクスは内と外の二つの部分があり、外側にキリストの生涯、内側に聖母マリアの生涯を中心とした物語が描かれています。
輝く黄金の地に細密な描写であらわされたモザイクは洗練を極め、ビザンティン美術1000年の歴史を代表するものといわれます。
バスツアーなどの団体客を除くと訪れる観光客は少なめなので、静かな空間で荘厳な雰囲気をゆっくりと味わうことができますよ。
カーリエ博物館のもう一つの見どころは、本堂の南側にある礼拝堂です。
壁や天井は、「最後の審判」やキリストが起こした奇跡をテーマにしたフレスコ画で埋めつくされています。
中でも最も奥の天井に描かれた「冥府降下」は必見です。
キリストが地獄に降りてその扉を打ち破り、地獄に堕ちたアダムとエヴァを救い出す場面があらわされています。
「冥府降下」はビザンティン時代、キリストの復活と人類の救済を意味する図像として、最も重要視されていました。
たくさんの作品がありますが、その中の最高傑作とされるのがこのフレスコ画です。
中央の白い衣を着た人物がキリスト。
左右の手でアダムとエヴァを引き上げています。
キリストの背後には星がきらめき、足下には蹴破られた冥府の扉が見えます。
若々しい青年として描かれた、力強いキリストの姿は新鮮で、頼もしささえ感じられます。
この礼拝堂は墓所でもあるので、この絵は死者の魂の復活を願って描かれたともいわれています。
これらのモザイク画やフレスコ画が作られたのは14世紀初めのこと。
それまでの建物を大改築したのが、テオドロス・メトキティス。当時の宰相であり、知識人としても知られた人でした。
実は、メトキティスはモザイク画の中にも登場しています。
ターバンをつけた、キリストに聖堂を捧げている人物がそうです。
この人のお墓も礼拝堂にあるんですよ。
博物館の向かいにはみやげ物屋やレストランがあり、見学を終えて一息つくのにおすすめです。
近くにはテオドシウスの城壁もあり、また、聖堂の周りは静かな住宅地なので、ブルーモスクやアヤソフィアのある歴史公園地区とは違う、トルコの人びとの日常を感じることができます。
美術ファン、歴史ファン必見のカーリエ博物館。
イスタンブール観光の際にはぜひ訪れてみて下さい。
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(2024/4/20更新)
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