ブルガリアの古都「ヴェリコ・タルノヴォ」の美しき旧市街を歩く

ブルガリアの古都「ヴェリコ・タルノヴォ」の美しき旧市街を歩く

更新日:2015/07/02 11:13

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
日本では、ヨーグルトの名前として知られていても、国としては認知度の低いブルガリア。実は、この国には多くの魅力があるのです。山と丘陵に富んだ観光資源、独特の張り出し窓の建築物、バラの谷、リゾート地の黒海沿岸…そして、森と川に囲まれた古都。

今回は、数あるブルガリアの古都の一つ、第二次ブルガリア帝国の首都でありながら苦難の歴史を乗り越えてきた、美しい町並みを残すヴェリコ・タルノヴォをご紹介します。

急斜面に美しい町並みが残る旧市街

急斜面に美しい町並みが残る旧市街

写真:Hiroko Oji

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東ヨーロッパ・バルカン半島の要地にあるブルガリア。中央に横たわるのは歴史的にも重要な役割を果たしてきたバルカン山脈です。その東部にあるのが、観光地としてブルガリア人にも人気の高いヴェリコ・タルノヴォ(Veliko Tarnovo)。ブルガリアでも最古の集落の一つ、5千年を超える歴史を持つ古都です。

町の起点となるのはブルガリアの母広場(пл.МайкаБълrария)、ここから東側に旧市街が広がります。ツァレヴェッツ(Tsarevets)の丘まで続く1本道がメインストリートで、両側にレストランやホテル、ショップが建ち並びます。路地へ入ると石段や坂道が続き、歴史を感じさせる建物の間からは、川を隔てた緑深い丘や蛇行する川沿いののどかな風景を見下ろせます。急斜面に張り付くようにして建つ美しい町並みは見事な眺め!休憩がてら、レストランのテラス席や窓からこの風景を楽しんでくださいね。

頂上に大主教区教会!ツァレヴェッツの丘には遺跡も!

頂上に大主教区教会!ツァレヴェッツの丘には遺跡も!

写真:Hiroko Oji

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メインストリートを道なりにどんどん進んでいくと、先に見えてくるのがツァレヴェッツの丘。第二次ブルガリア帝国時代には、この丘全体がかつてのブルガリア皇族や総主教の住まいとしての宮殿だったのですが、オスマン朝の猛攻により瓦礫の山と化してしまったところです。現在は土台のみ残る城壁跡が広がっています。

緑に囲まれた丘の頂上には大主教区教会が建っていて、教会前からは旧市街を始め、周囲を取り囲む緑豊かな森や丘が見渡せます。その眺めはとても素晴らしいものです。教会内の壁一面に描かれた暗い色調と硬い筆遣いのフレスコ画が、歴史的な緊張感を伝えています。

夜になると、音と光のショーが繰り広げられ、観光客がそれを楽しみに出かけてきます。この華麗なショーは、実はブルガリアが独立にいたるまでの苦難の歴史を表現したもの。他国の侵略で多くの民の血が流されたことを表しており、悲痛な歴史を実感させられる場面です。

小さな工房を持つ店が軒を並べるサモヴォドスカタ・チャルシャ

小さな工房を持つ店が軒を並べるサモヴォドスカタ・チャルシャ

写真:Hiroko Oji

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旧市街の路地へ一歩入ると、そこには石畳に石造りの民家が続き、サモヴォドスカタ(Samovodskata)というチャルシャ(Charshiya=市場の意味)が観光客を迎えています。古くから金銀細工や陶器、織物、革製品、木彫り、絵画、刺繍やレースの手芸品などの小さな店が軒を連ねていて、ただただ見て歩くだけでも楽しくなってきます。どのお店も工房を兼ねていて、職人さんたちが作ったものをそこで売っているのです。軒先で店番をしているおばあさんとのおしゃべりタイムにも心温まるものがありますよ。

蛇行するヤントラ川沿いは、美しい長閑な風景

蛇行するヤントラ川沿いは、美しい長閑な風景

写真:Hiroko Oji

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ヴェリコ・タルノヴォの3つの丘(ツァレヴェッツの丘、トラペジッツァの丘、スヴェタ・ゴラの丘)の間をクネクネと蛇行して流れるヤントラ川は、バルカン山脈から流れ出し、やがてドナウ川に流れ込む川。川沿いには緑豊かな風景が広がり、散在する民家や立派な教会の建物を含め長閑そのもの!川沿いから見上げる城塞や崖の眺めも緑に包まれています。川に架かる木製の橋にもぬくもりが感じられ、過去に凄惨な戦いが繰り広げられたことなど考えも及ばないほど、平和な空気が流れています。

スヴェタ・ゴラの丘に立つアッセン王のモニュメント

スヴェタ・ゴラの丘に立つアッセン王のモニュメント

写真:Hiroko Oji

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周りを緑いっぱいの森で囲まれ、その外側をヤントラ川がぐるりと周りこんで流れる丘の一つスヴェタ・ゴラ(Sveta Gora)。ここには、ヴェリコ・タルノヴォ美術館とアッセン王のモニュメントがあります。
美術館内にはブルガリアの歴史をテーマにした現代画家たちの絵画や、独立運動を題材にした作品、さらには日本人の作品なども展示されていて、なかなかの見応え。

美術館そばに立っているのがアッセン王のモニュメント。イヴァン・アッセン1世、ペタル、カロヤン、イヴァン・アッセン2世(4人の在位:1187〜1241)に捧げられたもので、4人の騎馬像が、細長いすっくと立つオベリスクのもとを飾っています。モニュメント前から、川を挟んで見上げる町並みの美しさも格別です。

その他にも!

ヴェリコ・タルノヴォには、その他にもたくさんの見所があります。オスマン朝の総督邸だった屋敷を民族復興期博物館として公開しているものがそのうちのひとつ。ここでは、独立運動を中心とする19世紀の社会情勢を今に伝える資料館として見学が可能になっています。

また、旧市街の教会やツァレヴェッツの丘とトラペジッツァの丘の間の谷間にあるいくつかの教会なども、管理人さんに開けてもらって中を見学できます。さらにツァレヴェッツの丘の麓にあるアセノフ地区へも足を延ばしてみてください。昔からの片田舎の家並みがそのまま残されている地区です。薔薇や葡萄の木がお庭に植えられ、その間を洗濯物がひらひら揺れている・・・時計が止まったかのような静かな民家が続きます。

また、アルバナシ(Arbanassi)という村も近くにあります。見どころ満載でありながら、ゆっくり時が過ぎゆく空気が心を癒してくれます。お時間があれば足を運んでみてくださいね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/05/28−2013/05/31 訪問

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