世界遺産フィリピン・コルディリェーラの棚田群と秘境温泉へ

世界遺産フィリピン・コルディリェーラの棚田群と秘境温泉へ

更新日:2015/06/18 12:26

「天国へ昇る階段」と比喩されるフィリピンの世界遺産「コルディリェーラの棚田群」は、山岳少数民族のイフガオ族によって2000年にも渡り受け継がれてきた、人間と自然が作り出した奇跡の絶景。標高千〜2千メートルの斜面に広がる棚田の総延長は2万キロメートル、地球を半周するほどの長さに達するといわれています。

イフガオ族の歴史と文化に、そして世界遺産の棚田にある秘境の温泉を訪ねてみましょう。

天国への入り口は高原の避暑地「バギオ」から

天国への入り口は高原の避暑地「バギオ」から
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フィリピン・ルソン島の北部中央に横たわるコルディリェーラは、スペイン語で山脈の意味を持つその名の通り、標高1,000メートルを越える山々が連なる山岳地帯です。

そのような山深き地を選び暮らしてきた山岳少数民族のイフガオ族は、山を活かし自然と共に独自の文化や信仰、儀礼、そして稲作の方法を今に伝えてきました。紀元前から続く文化の営みは、やがて棚田という形で私達に驚きを与えます。コルディリェーラ全域、と言っても過言ではないほどに広がる大規模な棚田の景観は、1995年に「コルディリェーラの棚田群」として世界遺産に登録されました。

世界遺産への入り口は、高原の街バギオ(Baguio)から始まります。マニラやその他の都市からバスの乗り入れも多く、棚田の絶景を求める観光客が一度は立ち寄る街といえるでしょう。また、一年を通して最高気温が26℃を超えることはない絶好の避暑地なので、涼を求める観光客で街は連日賑わっています。

2000年に渡る人と自然の共演「コルディリェーラの棚田群」

2000年に渡る人と自然の共演「コルディリェーラの棚田群」
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バギオから更にバスで山道を揺られること、約6〜9時間。車酔いと戦いながら、バナウェ(Banaue)の町にようやく到着します。日本から1日がかりの移動は決して楽ではなく、近くて遠くにある「天国へ昇る階段」ですが、その労力に見合う以上の絶景で私達を迎えてくれます。

バナウェに行く途中の車窓からは、既に沢山の棚田の風景を見てきたことでしょう。特に有名なバナウェのビュー・ポイントも、町に到着する直前に通り過ぎているはずです。実は、パナウェ・ビュー・ポイントから見られる棚田の景色は、世界遺産に指定されてはいません。世界遺産の景色を見るためには、バナウェから更にバンガアン村(Bangaan Village)かバタッド村(Batad Village)を訪れる必要があります。また余裕があれば、周辺のフンドアン町(Hungduan)、マヨヤオ町(Mayoyao)、キアガン町(Kiangan)まで足を伸ばして、世界遺産に登録されている棚田を踏破してみるのも面白いかもしれません。

■バナウェ観光センター(Banaue Tourism Center)
住所:Poblacion, Banaue
毎日5:00〜20:00
マニラやバギオからのバスが到着する幹線道路の脇にあります。
バナウェに入る旅行者はここで登録と環境費を支払う必要があります。周辺の棚田へのアクセス方法やガイドの手配、トライシクル料金の情報など、バナウェと周辺の旅に必要な情報や地図が手に入るので、是非立ち寄って下さい。

世界遺産の棚田を歩いてみよう

世界遺産の棚田を歩いてみよう

提供元:遠藤隆尚

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遠くで眺める棚田も良いけれど、迷路のような棚田のあぜ道を歩いてみるのも面白いものです。ほとんどが木造住宅のフィリピンの建築事情の中で、山の斜面に積み重ねた石組みによって築かれた「石造建築」であることもまた、棚田の文化的価値を高めているのだそうです。そしてこの棚田を造り出した農耕技術は、なんと2,000年もの間口伝によって受け継がれてきたというのですから、驚きです。

16世紀にスペイン人が植民地政策として、金を求めコルディリェーラに立ち入った時も、大戦後アメリカによって道路や学校、病院などが整備されても、イフガオ族の人々は農耕技術や伝統的な信仰、儀礼を守り続けてきました。数千年に渡る彼らのたゆまぬ努力、それがこの棚田の景観なのです。

*観光センターでトレッキングなどの情報が入手できます。

フンドアン棚田群の奥地にある秘境温泉を目指して

フンドアン棚田群の奥地にある秘境温泉を目指して

提供元:遠藤隆尚

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バナウェからトライシクルで移動すること1時間〜1時間30分。緩やかな斜面に作られたフンドアン村の棚田の景色は、棚田の中に建てられた教会がアクセントとなって、絶好の棚田撮影ポイントです。

そしてもう1つ。実はフンドアン村の棚田を流れる川の上流に、村人が利用している秘境の温泉があるのです。ここまで来たのですから、ぜひともフィリピンの温泉を堪能してみましょう。

村の人々の憩いの場にお邪魔します!

村の人々の憩いの場にお邪魔します!

提供元:遠藤隆尚

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棚田の「石造建築」を思わせる湯船に、湯と川の水を引き込んで設えられた温泉は、少しぬるめの温度設定。ゆっくりと湯に身を沈めれば、ここまでの苦労が一瞬で吹き飛びます。次々と現れる村の人々は、食事をとったりお風呂に入ったりと、それぞれの楽しみ方で温泉を楽しんでいるようです。

温泉成分表も何もない簡素な造りの公衆浴場は、世界遺産の中という贅沢な場所にあって野趣にとんだ温泉です。村の人々とも交流できる絶好の温泉は、訪れる価値のある場所といえるでしょう。

*観光センターでガイドを手配して訪ねるのが無難です。

マニラからの直通バスも!少し行きやすくなった「天国へ昇る階段」

余裕があれば、洞くつ探検と世界でも珍しい風習「ハンギング・コフィン」が有名なサガダ(Sagada)や、博物館と石組みの棚田が美しいボントック(Bontoc)などを寄り道しながら、ゆっくりとバナウェを目指すのも良いでしょう。美しい自然と文化が残るコルディリェーラを存分味わってみてください。

■アクセス(マニラからバナウェへ、約9時間)
サンパロックから1日2本(21:00発、22:00発)が、オハヤミ・トランス(Ohayami Trans)の夜行バスがあります。

*詳細は関連MEMOの「Ohayami Trans(英語)」を参照してください。マニラ発は本数が少なく、休日は満席になることが多いため、事前に予約をしておいた方が確実です。

■アクセス(各地よりバギオへ)
ルソン島各都市からバスでアクセスが可能です。マニラからも多数バスが出発しています。マニラからの場合5〜7時間。

■アクセス(バギオからバナウェへ、約6〜9時間)
KMSバス
乗り場:バーンハム公園の西側、Otek St.沿い
1日2便(8:00発、21:30発)
キアンガン直行バスもあり21:00発

I.T.T.A.G Transportation
乗り場:センターモールの斜め向かいの路地、T.Alonzo Street.
1日4便(9:30発、12時発、14:30発、19:00発)ワゴン車を運行しています。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/10/28−2013/10/30 訪問

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