提供元:遠藤隆尚
地図を見る台北の東に位置する、美しい海岸と山々に囲まれた新北市瑞芳区。列車やバスのアクセスもよく、台北から1時間とかからず行けることから、台北近郊の観光スポットとして人気のあるエリアです。特に映画『千と千尋の神隠し』のモデルとして一躍有名となった「九份」や、台湾ローカル鉄道の平渓線などは、いまや日本でもお馴染みの観光名所。
そんな瑞芳区において最近、にわかに台湾っ子に人気が出始めているのが「水湳洞」と「金瓜石」です。実はこの2ヶ所は「九份」と深い関わりがある街で、それぞれバスで15〜30分で行けることから、台湾っ子は水湳洞・金瓜石・九份の頭文字「水金九」をキーワードに、3ヶ所を巡る観光をしています。そしてこの3つの街に共通するキーワードは、金鉱業によって繁栄した歴史、そして日本との関わりです。
まずは基隆または瑞芳駅からバスに乗って、「水湳洞」を訪ねてみましょう。車窓に広がるのどかな景色から、やがて山の中腹にコンクリート打ちっぱなしの、今は使われていない大きな建物と、山の頂上には茶壺(急須)のように見える岩がちょこんと乗っている茶壺山が見えてきます。海沿いに面した廃墟の街「水湳洞」に到着です。
提供元:遠藤隆尚
地図を見るかつて金鉱山があった名残のような黄金の川の流れと、澄み渡った青い海水が混ざり合った陰陽海と呼ばれる海岸線の目の前に、太陽の光が過去の栄光を思い起こさせる「十三層遺址」がそびえ立っています。
日本統治時代の1933年。日本人によって建設された製錬所は、金の採取から精錬までの行程のすべてを行っていました。この「十三層遺址」という名前からも読み取れるように、当時は段々畑のように13層に渡って建物があったのだそうですが、ほとんどが倒壊し今は最上部の建物のみ残っています。
お薦めの絶景ポイントは「十三層遺址」を正面から見られる水湳洞の駐車場と、そこから伸びる階段を登った先にある展望台です。特に展望台からは廃墟が段々に13層になっている様子と、「長仁坑排煙管」と呼ばれる長さ2キロメートル、内口径2メートルの世界最長といわれる煙突が、山を這うように空へと向かって伸びているのが見られます。
台湾のミュージシャンのミュージック・ビデオにもたびたび出てくる「十三層遺址」。鉱山のポタラ宮ともいわれるのが納得の絶景です。
*長仁坑排煙管は1枚目の写真(右手)で見られます。
「十三層遺址」の展望台から山へと続く公道をひたすら歩くこと、30〜40分。金水公路(県道北34号線)沿いに美しい「黄金瀑布」があります。
緑の山の斜面を裂くように突然赤茶けた岩肌に、流れる水が太陽の光をうけて幻想的な雰囲気を持つ「黄金瀑布」。その美しさとは裏腹に、流れる水は鉄分や硫酸塩濃度が高い強酸性の水で、飲むことはおろか滝の周りは危険区域に指定されています。雨の多い山間部で雨水が坑道や岩の隙間に染み込み、鉱石に含まれるさまざまな成分が溶けだし、やがて滝となって川に注がれ海となり、陰陽海と呼ばれる景観を作りだしているのです。
*水湳洞-黄金瀑布間はバスがあります。詳しくはMEMOの「驚艷・水金九(各鉄道からのバス交通情報)」と「基隆客運(バス路線図・時刻表)」を参考にして下さい。
公道をさらに上へ上へと登ります。静かな山間の中に日本統治時代の面影を今に残す「金瓜石」と、鉱山をまるごと保存した「黄金博物館」があります。
素朴でどことなく懐かしさを感じる金瓜石の街並み。観光客で賑わう九份とはまた違った古い街並みが残るこの場所は、特に日本人にとっては郷愁な気分に浸れるはずです。1930年代に建築された4棟に連なる日本家屋「四連棟」や、日本統治時代の日本国皇太子(のちの昭和天皇)が「金瓜石集落」をご視察されることから建設された「金瓜石太子賓館」。そして鉱山の要ともいえる金瓜石の坑道は、その長さが600キロメートル以上にも達し、完全な形で残る「本山五坑」は坑内の見学ができます。
*黄金博物館の詳細はMEMOの「九份からバスで10分!日本が残る「金瓜石」と絶品スイーツ!」を参照してください。
*黄金瀑布-金瓜石(黄金博物館)間はバスがあります。詳しくはMEMOの「驚艷・水金九(各鉄道からのバス交通情報)」と「基隆客運(バス路線図・時刻表)」を参考にして下さい。
提供元:遠藤隆尚
地図を見る金瓜石からバスに揺られて最終目的地、九份を目指します。
日本でも大人気でお馴染みの九份は、台北から日帰りのツアーが組まれるほど日中は多くの人々で賑わう、超有名観光エリアです。が、元々「九份」は鉱山で働く鉱員たちのナイトスポットなのですから、リアルな九份を体験するならやはり夜がお薦めです。
赤い提灯がゆらゆらと風に揺られて、幻想的な雰囲気を造りだす九份の夜。1日の疲れもすべて癒やされそうな、ゆるやかな空気で満たされた九份で、おいしい台湾の中華料理を食べてその日の思い出に浸ってみてください。
「水金九」はいかがでしたか?
早朝から行動すれば、水湳洞で十三層遺址と黄金瀑布を見てから、黄金博物館に立ち寄って、坑道の見学とランチを、そして九份でディナーを楽しんでそのまま宿泊、なんて満喫プランも立てられそう。九份に行ったことがある人も、そうでない人も、これからは「水金九」で台北近郊のプチトリップを計画してみてください!新しい台湾の魅力が見つかるはずです。
■アクセス
基隆または瑞芳駅より水湳洞、金瓜石、九份行きのバスが頻発しています。バス番号、路線図や時刻表など詳しくは、MEMOの「驚艷・水金九(各鉄道からのバス交通情報)」と「基隆客運(バス路線図・時刻表)」を参考にして下さい。すべての街をバスで移動ができます。
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