明日への希望を乗せて走れ!四日市あすなろう鉄道、誕生。

明日への希望を乗せて走れ!四日市あすなろう鉄道、誕生。

更新日:2015/05/28 18:15

風祭 哲哉のプロフィール写真 風祭 哲哉 B級スポットライター、物語ツーリズムライター、青春18きっぷ伝道師
三重県の四日市市に2015年4月1日、新しい名前の鉄道路線が誕生しました。その名も「四日市あすなろう鉄道」。小説やドラマで聞いたことのあるようなタイトルが入ったユニーク名前ですが、まだ地元以外の方にはほとんど知られていないのではないでしょうか。
そこで今回はこの「四日市あすなろう鉄道」の概要、その名前の由来、沿線風景などを紹介します。

名前の由来は「明日への希望」と「ナローゲージ」

名前の由来は「明日への希望」と「ナローゲージ」

写真:風祭 哲哉

地図を見る

「四日市あすなろう鉄道」は、2015年3月31日までは近鉄の内部線と八王子線として運行していました。沿線の利用人口の減少に伴い、もともとは鉄道を廃止し、線路跡地をバス専用道路としてBRT(バス高速輸送システム〉によるバス路線へと転換する計画だったのですが、地元の強い要望を受けて「公有民営方式」という形で鉄道として存続することになったのです。
こうしてできた新しい鉄道会社が「四日市あすなろう鉄道」。現在は「公」である四日市市が施設・車両を保有し、「民」である四日市あすなろう鉄道が列車の運行を担っています。

「四日市あすなろう鉄道」という社名は、ひとつは未来への希望(明日にむかって)という意味、もうひとつはこの路線が軌間762mmという特殊な線路で(要は、普通の線路よりかなり細いのです)、「ナローゲージ」と呼ばれていることから命名されたそうです。

面長美人の電車が、家々の軒先を走る

面長美人の電車が、家々の軒先を走る

写真:風祭 哲哉

地図を見る

四日市あすなろう鉄道には、「あすなろう四日市」から「内部(うつべ)」までの8駅、5.7qの内部線と、途中の「日永」から「西日野」までの2駅、1.3qの八王子線があります。
沿線はほぼ全線にわたって四日市郊外の住宅地や丘陵地で、3両編成の小さな電車が両線ともに1日37〜38往復しています。

この四日市あすなろう鉄道の特徴は、なんといってもその名前の由来にもなっている「ナローゲージ」。写真をご覧いただくと、普通の列車よりかなり面長であるのがおわかりでしょうか?

ナローとは英語で「狭い」を意味しますが、「ナローゲージ」は「特殊狭軌(きょうき)」と訳され、レールの幅が非常に狭いことを表しています。
新幹線のレール幅が1,435mm、よくある一般の在来線のレール幅が1,067mmに対して、この四日市あすなろう鉄道のレール幅は762mm。新幹線の約半分、一般の列車とくらべても3/4以下の広さ(幅)なのです。

線路も細く、車体もコンパクトなので、家々の軒先をかすめるような狭いところを走る区間もあって、まるで市電や江ノ電に乗っているかのような場所もあります。

カラフルな車体も、みどころのひとつ

カラフルな車体も、みどころのひとつ

写真:風祭 哲哉

地図を見る

上の写真が「ナローゲージ」と呼ばれる列車の車内。
やっぱり狭いですね。向こう側の車両に座っている高校生たちが膝を突き合わせるように向かい合っているのがわかるかと思います。

四日市あすなろう鉄道のもうひとつの特徴は、車両のカラフルさ。黄色や緑、オレンジ、水色、ピンク、紫などの色とりどりの車両がバラバラに組み合わさって3両で運行されていますので、どんな色編成の列車が来るのか、も楽しみの一つです。

あすなろう四日市から内部線の終点内部までは17分前後、あすなろう四日市から八王子線の終点西日野まではわずか8分で着いてしまいますので、途中で下車してカラフル電車の写真を撮りながら、のんびりと旅するのもいいかもしれません。
また、内部線と八王子線の分岐点である日永駅は、ホームの先が二股に分かれている特殊な形状で、カラフルな車体が絶妙のバランスで並んだ姿がよく写真に撮られています。

沿線には旧東海道の町並みや史跡も。

沿線には旧東海道の町並みや史跡も。

写真:風祭 哲哉

地図を見る

四日市あすなろう鉄道の内部線は、旧東海道に沿って走っています。特に日永駅から南日永駅にかけての街道沿いは上の写真のようなちょっとした風情のある町並みが見られます。
また、追分駅の付近には、その名の通り「日永の追分」史跡があります。ここはその昔、京に向かう東海道と伊勢に向かう伊勢街道の分岐点でした。現在では小さな緑地となっていて、道標や常夜燈、清めの手水所があり、往時の面影を残しています。

おススメは、片道電車、片道は旧東海道散策、という半日コース。
例えば、行きは内部線に乗って四日市から内部駅へ電車で移動し、帰りは内部駅から旧東海道に沿ってぶらぶらと散策しながら帰ってくるパターンです。日永の追分を通って日永駅まで歩いても約4キロ、ゆっくり歩いても1時間程度です。
日永から今度は八王子線に乗って終点の西日野まで行き、帰りは西日野から四日市まで再び約4キロ、1時間の散策。のんびりとあすなろう電車の撮影でもしながら戻ってくるのはいかがでしょうか。
あすなろう鉄道を全線制覇し、かつ旧東海道2時間のウォーキングと電車の撮影までできて全コースで3〜4時間かと思います。

明日への希望を乗せて、今日もコトコト走っています。

あすなろう。
なんといってもこのネーミングがいいですよね。

あすなろう鉄道の沿線には有名な観光地があるわけでもありませんし、絶景車窓があるわけでもありません。それでも毎日小さな電車に、明日への希望を乗せて走っている四日市あすなろう鉄道に、ぜひ一度乗りに行ってみてはいかがでしょうか。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/05/03 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -