ビザンティン建築の最高傑作とうたわれるアヤ・ソフィア。
内部には壮麗な大空間が広がります。
天井はドーム天井となっており、中央のドームは直径33メートル、床面からの高さ56メートルという巨大なもの。
その周りにアーチや半円形ドームを作り、中央ドームの重さを分散して支えています。
巨大なドームによって大空間を実現したアヤ・ソフィアは、まさに驚異的な大建築であり、同じ構造の建物はアヤ・ソフィア以前にも以後にも作られることはありませんでした。
時の皇帝ユスティニアヌスは、聖堂のこれまでに見たこともない大きさと美しさに感動し、「おおソロモンよ、われ汝(なんじ)に勝てり!」と叫んだといいます。
アヤ・ソフィアの歴史は4世紀に遡ります。
キリスト教を公認し、自らもキリスト教徒となったコンスタンティヌス大帝は、ローマ帝国の首都をビザンティウム(現在のイスタンブール)へ移し、帝国の中心となるべき大聖堂を建設します。
それが聖ソフィア大聖堂、現在のアヤ・ソフィアです。
しかし、聖ソフィア大聖堂は2度の火災によって焼失。現在の建物は6世紀にユスティニアヌス大帝が再建したものです。
15世紀、オスマン帝国の皇帝メフメット2世はコンスタンティノープル(現イスタンブール)を攻略すると、聖ソフィア大聖堂をイスラム教の寺院へ転用します。
これによって、奥壁にメッカの方向を示すくぼみ(ミフラーブ)と、建物の周囲に4本の尖塔が新たに作られ、現在のような姿になりました。
同時にキリスト教を主題にした壁のモザイク画は漆喰で塗りつぶされ、それから約500年もの間、人の目から隠されることになります。
20世紀になるとトルコ共和国が発足。
アタテュルク政権のもと、1930年代から壁の漆喰を剥ぎ取る作業が進められ、無宗教の博物館として公開されるようになりました。
アヤ・ソフィアの見どころはドームだけではありません。
黄金に輝くモザイク画もどうぞお見逃しなく。
建物に入ってすぐの廊下のような空間(ナルテックス)のモザイク、堂内の奥壁上部に描かれた聖母子像、そして2階の「デイシス」は必見です。
中でも「デイシス」はビザンティンモザイクの中でも傑作といわれるものの一つ。
キリストに人間の罪を許すよう嘆願する聖母マリアと洗礼者ヨハネを描いています。
人物の顔はモザイクとは思えないほど繊細に表現されています。また、中央のキリストの頭光と背景は同じ金色ですが、はっきりと見分けることができます。これはモザイク片(テッセラ)を埋め込む角度を変えているため。
まるで筆で描いた絵のように見えるモザイク画。高度な技法に思わずため息が出てしまいそうです。
訪問した時はぜひ2階まで上がってみて下さいね。
堂内に入って左手にはよく人の列ができている柱があります。
この柱には「聖母マリアの手形」とよばれるくぼみがあり、そのくぼみに親指を入れて他の4本の指を柱につけたまま腕を一回転させることができれば、願いが叶うといわれています。
柱は大理石製ですが、くぼみの周りも人に触れられたことで大きく磨り減っています。
一体、これまでにどれほど多くの人がここを訪れ、柱に触れていったのでしょう。
実際に触ってみると、自分もアヤ・ソフィアの歴史の一部になったような気持ちになれますよ。
列は長くなったり、短くなったりしますから、タイミングを見計らって行ってみて下さいね。
イスタンブールの歴史をそのままに体現するアヤ・ソフィア。
観光の中心地であるスルタンアフメット地区に位置し、交通はトラムT1線スルタンアフメット駅で下車するのが便利です。
歴史ファン、建築ファンそして美術ファンにはぜひ訪れていただきたいスポットです。
アヤ・ソフィアのドーム建築は、その後のイスラム建築に大きな影響を与えました。
イスタンブールには美しいドーム屋根をもった数多くのモスクがありますが、これらの建築のモデルとなったのがアヤ・ソフィアです。
世界遺産でキリスト教とイスラム教の意外なつながりを体感する、これもイスタンブールならではの楽しみの一つといえるでしょう。
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(2024/4/19更新)
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