福岡の繁華街のど真ん中「水鏡天満宮」〜黒田長政も頼った天神様のパワー

福岡の繁華街のど真ん中「水鏡天満宮」〜黒田長政も頼った天神様のパワー

更新日:2016/11/11 12:36

万葉 りえのプロフィール写真 万葉 りえ レトロ建築探訪家、地域の魅力伝え人
福岡の天神というと、九州一の賑わいがある福岡市の中心部。こんな所に…と思われるビルの間に「天神」という地名の由来といわれている「水鏡天満宮」が建っています。。
まつられているのは、もちろん菅原道真。400年間この町を守り、変遷を見てきました。朱塗りの社殿がとても美しく、都心とは思えない神聖な空気に包まれています。学問の神様への祈願として、また、この空気に癒されに、天神散策にはぜひここへもどうぞ!

都心のオアシス

都心のオアシス

写真:万葉 りえ

地図を見る

西鉄の福岡駅や、市営地下鉄の天神駅から歩いてもわずか。明治通りを中洲の方向へ進んですぐに、左手のビルの間に朱塗りの社殿が見えてきます。

入口は小さく見えますが、中に入ると結構な広さがあります。池には大きな鯉がゆうゆうと泳いでおり、境内のあちこちで季節の花が彩を添えています。静かでくつろげる空間は、ここが都会の中心であることを忘れさせてしまうほどです。

道真と土地の人々とのつながり

道真と土地の人々とのつながり

写真:万葉 りえ

地図を見る

では、ちょっと歴史を紐解いてみましょう。

右大臣として天皇につかえていた菅原道真は、藤原時平の讒言により無実の罪をきせられてしまいます。あわれ、大宰権師(だざいごんのそち)に任ぜられて、わずかな供とともに遠い大宰府へと旅立たねばならなかった道真。
普段見ることのない雲上人がいわれのない罪で嘆き悲しむ様子に、その土地土地の人々は深い同情をよせたようです。道真が道中で滞在したという地には、のちに「天神」「天満宮」が建てられていきました。

ここもそんな神社の一つ。
瀬戸内海を航行中に道真一行は暴風にあっており、ただでさえ傷心の身に、船が転覆するかもしれないという恐怖まで味わって九州へたどり着いたようです。現在の博多港についた後は、船を乗り換え四十川へ。
そして、今泉という村の付近で川面に映った変わり果てた自分の姿を見た道真は、悲しみを一層深くしていったといいます。その今泉に建てられた社殿が、のちに「水鏡天神」などとよばれるようになったそうです。

天神様の強力パワー

天神様の強力パワー

写真:万葉 りえ

地図を見る

時は流れて…1612年。筑前五十二万石に封じられた黒田長政。まだまだ戦乱の空気が残り、天下泰平とはなっていない時代です。
福岡城の築城にあたり、城の鬼門となる方角、つまり、現在社殿が建っている地に天神様にお移りいただくことにしました。天神様の強力なパワーで、城の防御を固めるためだったといわれています。

黒田家が明治維新をむかえるまで筑前五十二万石を守ってこられたのは、天神様の強力なパワーのおかげがあったからなのかもしれませんね。

天神さまと縁の深い牛

天神さまと縁の深い牛

写真:万葉 りえ

地図を見る

境内に入ると、どこかユーモラスで心をほぐしてくれる表情をたたえた牛の像もむかえてくれます。

大宰府で亡くなった道真のなきがらを運んだのが牛車でした。しかし、墓所を定めてそこへと運んでいく途中で、なぜか牛が動かなくなってしまったといいます。付き添っていた者たちはいろいろと試みたのでしょうが、とうとうその場所を道真の墓所とすることになったそうです。その場所が道真の霊廟「安楽寺」であり、現在まで続く「太宰府天満宮」の地でもあります。

道真と牛には深いつながりがあり太宰府天満宮にも牛の像がいくつもありますが、ここも道真ゆかりの神社なので牛は大事な存在なんです。

水鏡天満宮の社殿に並ぶように、左手にはお稲荷さんも建っています。お稲荷さんの前にはお百度を踏む石が残っていて、こちらも多くの人々の信仰を集めてきたことがうかがえます。
天満宮とお稲荷さんの両方に手を合わせて、旅に出られたことに感謝したり、旅の安全を祈ったりされてはいかがでしょうか。

政界の争いで敗れてしまった道真ですが、今は遠い世界で、讒言を信じた天皇や政敵と仲良くなっていたらいいですね。

おわりに

こんな都会のビルの間にありながら、境内に入ると周りの喧騒から離れた世界に入れます。私事ではありますが、この神社を知ってから、神聖な空気に包まれに寄らせてもらうようになりました。

ショッピングや屋台巡りなど、天神での楽しいプランがあることでしょう。その散策の際には、この神社にお寄りくださいね。
天神様とお稲荷さんのダブルパワーで、楽しい旅を!

掲載内容は執筆時点のものです。

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -