市営の竹島水族館が現在の場所で営業を開始したのは、昭和37年。過去には改修も行われているものの、建物の規模は小さく、外観はお世辞にもきれいとは言えません。入館料は大人500円・子ども200円と、とてもリーズナブル。
館内は全体に水槽の位置を低くして、家族連れで訪れる来館者に配慮しています。子どもや車いすの来館者も、周りの手を借りることなく、好きな展示にかじりついています。
まず目を奪われるのが、ウツボの水槽です。水槽内につるされた土管に、何匹もの極太のウツボがからみついている光景は、夢に出てきそうな気持ちの悪さ。土管に入って密集する事で、ぬらぬらとした長い体の特徴を遺憾なく見せつけてくれます。
異常に首の長いヘビクビカメや、深海の主のような巨大なミズダコの前では、悲鳴にも似た驚きの声がもれていました。
地元三河湾の魚を集めた「お魚マンション」の展示も秀逸。設置されたブロックをマンションに見立て、ご丁寧に部屋番号や表札までつけているのですが、実際、その穴の一つひとつに魚が潜んでいるので、マンションの設定に妙に納得してしまうのです。
「ゲテモノは嫌い、ジョークも笑えない」という乾いた心のあなたには、サンゴや水草の中で泳ぐ熱帯魚が鑑賞できる「まったりうむ」がおすすめ。区切られた部屋の中は、心安らぐ水中風景で取り囲まれています。サンゴや水草が揺らめく水槽の中を、きらきらした魚が回遊する光景に、ため息がもれてしまうかも。
そんなオリジナリティあふれる展示の合間を埋めるのが、解説。雑貨系書店ヴィレッジヴァンガードを彷彿とさせる、ユーモアとジョークとシャレに彩られた手書きポップが、至る所に貼られています。貴重な深海魚を食べてみた(!)感想や、履歴書ならぬ『魚歴書』、フグの解説にアンディ・フグのイラストを添えるなど、終始おふざけが満載。そのひねりのきいた面白さに、立ち読み状態になるお客さんも続出です。
子どもたちに一番人気なのが、「さわりんぷーる」。ここでも竹島水族館はひとあじ違います。ヒトデや小さな甲殻類といった一般的なタッチプールの範疇を大きくはみ出した、規格外の生物に接触可能なのです。脚をひろげると全長3mとも言われるタカアシガニや、小柄といえども獰猛なナヌカザメ、深海生物として最近話題のオオグソクムシにもタッチOK!いつの間にか、付き添っていた大人もテンションが上がって、変な声が出てしまうラインナップです。
また、ウミガメなどにエサやりができる「パクパクおさかなプール」も大人気。大きなウミガメが泳いできて、大口をあけて餌を食べる姿は迫力満点です。値段の違う2種類の餌をあげて、食いつきを比較する猛者もいるほどの人気コーナーなのも納得でしょう。
市営ならではのリーズナブルさと、館内施設の古さ・規模の小ささを見せ方でカバーする企画力。来館者にとっては、お安く存分に楽しめる「エンターテイメント系水族館」としての魅力が抜群です。年に何度も企画展を更新したり、人気の有る無しで展示の入れ替えもしているので、何度訪ねても新たなオモシロさで魅了してくれそうです。
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