「ブラタモリ」でも訪問! 京都西陣「織成館」で織元の伝統技術の粋

「ブラタモリ」でも訪問! 京都西陣「織成館」で織元の伝統技術の粋

更新日:2019/08/10 13:16

万葉 りえのプロフィール写真 万葉 りえ レトロ建築探訪家、地域の魅力伝え人
今や京都の西陣織会館の見学者は海外の方が8割で、西陣織や友禅のデザインは海外でも人気だとか。パリコレのブランドと契約している業者もあるくらいです。
それほど海外で高く評価されている西陣織なのに、日本人の私たちがよく知らないのでは…。NHKの人気番組「ブラタモリ」でも紹介された西陣。この町で門戸を開いて本物の伝統文化や美の一端を教えてくれるのが「織成館」です。伝統工芸士さんの技術は必見ですよ!

応仁の乱の後、発展していった西陣

応仁の乱の後、発展していった西陣

写真:万葉 りえ

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西陣という地名が、応仁の乱(1647〜1477)の際に西軍がこの辺りに陣を構えたことに由来するというのをご存知の方は多いと思います。西陣は、応仁の乱後に織物職人たちがここに戻ってきただけでなく、諸国で得た新技術も加えて京織物をこの地で復興したという歴史を持った町なのです。

しかし、西陣織と一口に言っても、その織りかたにも仕上がった物にもいくつもの種類があります。20以上の工程を経てやっと一つの織物が完成する。その一端を老舗の織元に見に行きましょう。

応仁の乱の後、発展していった西陣

写真:万葉 りえ

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今回ご紹介する「織成館(おりなすかん)」は染織文化・工芸文化の振興を目的に作られたもので、織元の老舗「渡文」の創業者の自宅兼店舗だった場所を展示館にしたものです。

さらに、名前は出ませんでしたがNHKの「ブラタモリ」でも撮影が行われた場所です。

石畳に路地…風情ある西陣

石畳に路地…風情ある西陣

写真:万葉 りえ

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今出川浄福寺のバス停から北へ入っていくと、風情ある石畳の道沿いに大きなのれんの建物が旅人を迎えてくれます。入り口ののれんをくぐれば玄関前にも季節の花が品よくあしらわれていて、こういう点も「さすが京都!」と感じさせてくれるでしょう。

石畳に路地…風情ある西陣

写真:万葉 りえ

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ここでまず展示されているのが、能装束や日本各地の織物です。そして隣の工場(織場)へと進めば、伝統工芸士の方の作業等を間近で見ることができるようになっています。

しかしここは観光用の施設ではありません。実際に製品が造られているリアルな織物工場。ですから、「ブラタモリ」の番組の中でも、タモリさん達一行がここで西陣織について学んでいるシーンが放送されました。
織り場へ糸が届くまででもどれほどの職人さんの手を経ているか、また、その糸が織り手の素晴らしい技術によって製品になっているかを知れば、きっと感嘆されるでしょう。

進化していく西陣の作品たち

進化していく西陣の作品たち

写真:万葉 りえ

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お伝えしたように西陣織といっても織り方にはたくさんの種類があり、ちょっとしたおしゃれ着として使うものから、格の高い帯まで様々です。普段和服を着ることが少なくても、成人式や結婚式などで和服と接する機会もあることでしょう。浴衣からちょっとステップアップしてみたいな、というときにも知っておくと心強いはず。

また、伝統の継承だけでなく新しい技術の製品も生まれています。光で色が変わる絹糸で織られた帯は、照明を当てたとたん一段と息をのむような美しさに変身!日本の美の深さにくらくらするかもしれません。

観賞の価値ある織成館の建物

観賞の価値ある織成館の建物

写真:万葉 りえ

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「西陣織」という日本の美を堪能した後は、織成館の1階へ戻って建物そのものもよくご覧ください。西陣の伝統的な家屋の特色を残したままにしているので、天井や柱や梁などに当時の面影がたっぷり。
玄関横には井戸があり、その近くには昔使っていた「提灯箱」や「蝋燭箱」も残っています。そんなところからも人々の暮らしを感じていただけるでしょう。この辺りの地下水は糸染めに適した水で、生活用水として今も使われているのです。

京町屋の伝統を残しつつ大きくとられた窓から光が差しこみ、木材が美しく組まれた部屋では休憩することもできます。ここでゆったりしていると「今、京都に来ているよ」と誰かに伝えたくなるでしょう。

観賞の価値ある織成館の建物

写真:万葉 りえ

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ショップも用意されており、和装だけでなくカバンやネクタイなど洋装でも使えるプレゼントの好適品も揃います。

その中でまずお薦めするのは、京都の錦市場が生誕地の江戸時代の画家「伊藤若冲」の絵画をもとにしたオリジナルのランチョンマットです。黒と金で表現された現代でもじつにおしゃれなこの製品。様々な使い方ができるのも魅力です。

また、永年絹を扱ってきた老舗だからこその商品が、絹の中でもごくわずかしかとれない「きびそ」という部分で作らた「キビソ肌友だち」です。これがテレビで紹介された時には、注文が殺到して品薄になったほどでした。そしてシルクパウダーが入った石鹸も、無添加の原料にこだわった物です。大小のサイズがあるので、お菓子以外の配り物のお土産を探している方はぜひ手に取ってみてください。

京都だからこそ、ふれられる本物

京都だからこそ、ふれられる本物

写真:万葉 りえ

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京の街中ではレンタル着物で観光している方をたくさん見るでしょう。しかし着物といってもその内容はじつに様々。また夏は浴衣でお出かけする機会が多いもの。素敵な帯や帯締めでお洒落に決めている人も見かけます。
ここは老舗なので、京都を訪れたならぜひ本物に触れておきましょう。浴衣の帯を選ぶにしても、見る目をアップしておけば今後の選択が違ってくるはずです。

京都だからこそ、ふれられる本物

写真:万葉 りえ

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舞妓さんや芸妓さんがしめている帯も、この町から生まれます。また、海外の映画コンクールで日本の女優さんが着物姿でレッドカーペットを歩く時にも、もちろんこの町の帯が華を添えています。
その美しいものを生み出すために職人さんたちがどんなに素晴らしい技術を守り発展させてきたかを、ぜひ西陣まで見に来てくださいね。

織成館の基本情報

住所:京都府京都市上京区浄福寺通上立売上る大黒町693
アクセス:市バス「今出川浄福寺」より北へ徒歩5分 「千本上立売」より東へ徒歩5分

織成館の近くには、町並み保存されている長屋の三上家や雨宝院、そして京町屋の和室で親子丼をいただける鳥岩楼などもあります。こちらも一緒に巡ってみてはいかがでしょうか。


掲載内容は執筆時点のものです。

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