古都・奈良の玄関、東向商店街で“おもてなしの心”を感じませんか?

古都・奈良の玄関、東向商店街で“おもてなしの心”を感じませんか?

更新日:2021/01/29 11:24

沢木 慎太郎のプロフィール写真 沢木 慎太郎 放送局ディレクター、紀行小説家
奈良の待ち合わせ場所で知られる近鉄電車「奈良駅」前の行基(ぎょうき)広場。ここを抜けると、奈良市の旧市街を代表するアーケードの商店街「東向商店街 (ひがしむきしょうてんがい)」があります。人気のお好み焼きや和菓子、昔ながらの技法にこだわった手ぬぐいなど老舗店が並ぶ商店街は奈良の“おもてなしの心”が感じられる場所。五重塔で知られる世界遺産の興福寺や奈良公園に近く、寺院巡りの合間に訪ねてみてはいかが?

奈良の待ち合わせ場所!行基広場

奈良の待ち合わせ場所!行基広場

写真:沢木 慎太郎

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東向商店街があるのは、近鉄電車の奈良駅前。近鉄奈良駅の東改札口を抜け、奈良県庁方面(東大寺方面)に向かって地下から地上へと出ると、ご覧のような広場に出ます。円すい形の噴水があり、奈良時代の僧侶「行基(ぎょうき)」が立つ広場は、“行基広場”と呼ばれ、待ち合わせ場所として親しまれています。

近鉄奈良駅前の登大路から、三条通りまでを南北に結ぶ商店街が「東向商店街」。この「東向き」という名称は、もともと興福寺に対して、通りの西側に建物が建ち、すべての建物が東を向いていたため。ちなみに、行基広場の行基像は、東大寺大仏殿に向かって立っています。

老舗のお好み焼き店「おかる」

老舗のお好み焼き店「おかる」

写真:沢木 慎太郎

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東向商店街で、おすすめの店が「おかる」。地元でも評判の老舗のお好み焼き屋さん。行基広場からすぐ近くにあります。木の温もりを感じさせるレトロな店構え。お昼時には行列ができるほどの人気店です。

老舗のお好み焼き店「おかる」

写真:沢木 慎太郎

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人気メニューは、なんと言っても、お好み焼き。ふっくらとおいしいだけでなく、ボリュームもあり、学生やサラリーマン、OLなど、老若男女問わず、さまざまな年代で人気。明石焼きもおいしいのでおすすめ。

写真は通常サイズですが、「特製おかる焼き」というメニューもあります。イカ、エビ、タコ、貝柱、山菜、牡蠣、豚ロースといったお馴染みの具材に加えて、さらに牛テキや有頭海老2尾のほか、なんと卵を5個も使います。

老舗のお好み焼き店「おかる」

写真:沢木 慎太郎

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お好み焼きや明石焼きもたいへん魅力的ですが、常連さんには焼きそば定食も人気。昼間からビールを飲んでいると、女性スタッフがテーブルにまでやってきて、写真のように鮮やかな手さばきで焼きそばを焼いてくれます。

焼きそばを蒸すために蓋をかぶせ、女性スタッフはさっと別のテーブルへ。目の前にかぶされた蓋を見ながらどうしたらいいのだろうと思っていると、再び同じスタッフが戻って来て、蓋を開け、焼き加減を見てくれます。テーブルに戻って来るタイミングがなんとも絶妙。たった一人だけで何人もの料理を切り盛りしていて、ただ感心して眺めるばかり。焼きそばの味も格別です。

<基本情報>
住所:奈良県奈良市東向南町13
電話番号:0742-24-3686
アクセス:近鉄電車「奈良駅」から徒歩3分

“高速餅つき”の「中谷堂」

“高速餅つき”の「中谷堂」

写真:沢木 慎太郎

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「エイ!」「ヤー!」「エイ!」「ヤー!」「とうっっっ――」。続いてのおすすめは、“高速餅つき”で知られる中谷堂。テレビやメディアでもたくさん取り上げられているので、ご存じ方も多いことでしょう。職人さんが顔を真っ赤にしながら、気合の入った声で餅をついていきます。迫力が伝わってきます。

驚くのは、そのスピード。目にも止まらぬ速さ。つき手と、返し手のコンビネーションの良さにただ圧倒されるばかり。職人さんの息がピッタリと合っていて、まわりは大勢の観光客が取り囲んでいます。

この“高速餅つき”ですが、実はパフォーマンスとしてではなく、昔から受け継がれてきた伝統技術。湯気を上げるほどの熱い瞬間を逃さず、一気につきあげることで、やわらかく粘りがあり、コシのある餅に仕上がるのです。中谷屋の名物は、よもぎ餅。とても柔らかく、ほどよい粘りとコシがり、ヨモギの風味も絶妙です。

<基本情報>
住所:奈良県奈良市橋本町29
電話番号:0742-23-0141
アクセス:近鉄電車「奈良駅」から徒歩約4分

手ぬぐいの奈良土産!「朱鳥」

手ぬぐいの奈良土産!「朱鳥」

写真:沢木 慎太郎

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最後のご紹介は、「朱鳥(あけみとり)」。こちらのお店は、手ぬぐい屋さん。繊細で美しいデザインに驚かされます。奈良のお祭りや興福寺五重塔、仁王像、奈良町、二月堂のお松明、鹿などをデザインしていますが、とても可愛い。

デザインの下書きは、パソコンではなく、手書き。さらに、朱鳥の手ぬぐいは、昔ながらの和晒(綿布)に、“注染(ちゅうせん)”と呼ばれる技術を使って、色鮮やかに染めていきます。

この伝統技法は、飛鳥・奈良時代にまでさかのぼり、もともとは中国から伝わってきた技法。東大寺の正倉院にも、この注染の技法を使った染物を見ることができます。1300年以上も昔の伝統を今に引き継いでいます。

<基本情報>
住所:奈良県奈良市橋本町1
電話番号:0742-22-1991
アクセス:近鉄電車「奈良駅」から徒歩約5分

おわりに

奈良の玄関口に位置する、東向商店街。伝統を受け継ぐ店主たちの柔和な表情のなかに、奈良の素顔を垣間見ることができ、ほっこりと心がなごみます。数多くの老舗に交じって、最近はおしゃれなカフェや雑貨店も多く、奈良を訪れたらぜひ立ち寄っていただきたい商店街です。近鉄電車「奈良駅」だけでなく、JR「奈良駅」にも近く、アクセスがたいへん便利。

アーケード商店街を抜けると、江戸時代以降の古い町屋街「ならまち」に行くこともできます。奈良の大仏や東大寺、春日大社だけでなく、東向商店街でも古都ならではの風情を楽しまれてみてはいかがでしょうか?

2021年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/04/02 訪問

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