写真：高橋 しゅう
地図を見る石垣田のある結東(けっとう）地区は、新潟県津南町の中心部より秘境秋山郷の奥地へと続く国道４０５号線の途中に位置しています。
もともと山間の集落のこの地区は石が多く、古くより開墾が難しく水田はありませんでしたが、明治期に飢餓対策のため地区の石を利用して石垣を築き、水田を造り始めたことが、この石垣田が出来た由来とのことです。高いものになると３ｍもある石垣を積み上げた棚田が広がる光景は、まるでここが山間にある古代遺跡のようにも見えます。
それでも明治時代、山間の地区にこれを築き上げた地元の方々は大変な苦労があったこととも想像が出来ます。
尚、結東の石垣田へは地区の駐車場に車を停めて農道を徒歩で散策しながら進みます。石垣田の入口までは徒歩１０分程度です。但し、秋山郷への国道は道が狭くカーブも多い為、注意しながら通行下さい。
写真：高橋 しゅう
地図を見るこの美しい石垣田は、平成３年に全国農村景観百選にも選定されている折り紙つきの風景です。全国的にはあまり知られていない存在ですが、一度は訪ねてみる価値のある隠れた絶景スポットです。
特に、行楽シーズンには多くの方が秘境・秋山郷を訪れますが、ここを素通りしてしまうのは、もったいない場所です。周囲を山々に囲まれた中に広がる棚田はとても絵になりますし、写真の撮影スポットとしても、とてもお勧めです。特に田植えのシーズンには水田の水鏡に山々が映えて、より美しい風景が広がります。
棚田は結構広い範囲に広がっていますので、一巡するだけも結構見応えがあります。写真好きの方はご自身の気に入った撮影スポットを見つけながら散策するのも楽しいと思います。
写真：高橋 しゅう
地図を見る石垣田は、地元の方が耕作されている現役の水田です。５月下旬には田植えが始まり、農家の方が作業されている様子を目にすることができます。
しかしながら、この素晴らしい景観も以前は、農家の方の高齢化による耕作放棄、傷んだ石垣の補修にコンクリートの擁壁が使われるなど、昔ながらの石垣田の維持が一時危うくなった時もあったそうです。そこで、地元では石垣田保存会を立ち上げて、景観維持と水田の使い易さを両立しながら考えて工夫され、その努力もあって棚田の景観が守られています。
毎年６月（２０１５年は６月１４日）には、石垣田をキャンドルで灯すイベントも行われています。夕闇になると石垣がキャンドルのやさしい光により照らされて幻想的な景観が広がります。日程が取れる方にはお勧めのイベントです。
写真：高橋 しゅう
地図を見る石垣田の駐車場所から車で数分の同じ結東の集落に、ぜひ訪れてみたい吊り橋があります。中津川の渓谷にかかる見倉橋と呼ばれる木製の吊り橋は、新潟の橋５０選に選ばれている歩道の橋で、橋自体の魅力もさることながら、５月の新緑や秋の紅葉の時期には特に渓谷と周囲の風景が相まって美しい風景が堪能できます。
また、この橋は２００６年の映画、西川美和監督の「ゆれる」のロケ地としても使われた橋でもあり、今でも結東と見倉の集落を結ぶ地元の方の交通路になっています。
尚、橋へは駐車場より谷を下りながら歩道を約１０分程歩きます。
写真：高橋 しゅう
地図を見るここまで秋山郷・結東の石垣田等を紹介してきましたが、もし日程に余裕がある方は、結東から車で約１時間程度かかりますが、津南町の隣の十日町市に位置する、松代（まつだい）地区の棚田めぐりもあわせてお勧めです。
松代は最近ガイドブック等にも紹介されて知られるようになった棚田の里です。地区にはいくつかの棚田スポットが点在していますが、代表的なものが国道４０３号線から少し入った場所にある星峠の棚田です。ここには山の斜面いっぱいに広がる棚田を、上から眺めることができる展望スポットもあり、この景観に魅了されて多くのカメラマンや観光客が訪れます。
特に、水田に水を張っている季節は美しく、早朝の水鏡と靄（もや）の風景は写真愛好家の方の間では有名で、パンフレットの写真にも良く使われています。尚、松代では棚田めぐりに便利なマップを作成していますので道の駅まつだいふるさと会館等で入手してから巡ると良いと思います。
これまで紹介してきました津南町と十日町市にまたがる新潟県妻有（つまり）エリアは、棚田や懐かしさを感じる日本の原風景が残る魅力的なエリアです。
５月は各地で田植えの時期になり、同時に山や渓谷の新緑が美しい季節になります。夏には津南町のひまわり畑、秋には棚田が稲穂で黄金色に染まり、秋山郷は紅葉の絶景スポットでドライブコースに最高です。そして豪雪地帯でもあるこのエリアは深い雪に覆われ白銀の世界が広がり、四季折々の風景を楽しむことができます。
妻有エリアには松之山温泉や、１軒宿の温泉等も点在していますので棚田めぐりとあわせて出掛けてみてはいかがですか？
秋山郷につきましてはトラベルjp 旅行ガイドの記事「人々の暮らしと山々が織りなす信越の秘境。紅葉も美しい秋山郷へ」でも紹介していますのでＭＥＭＯ欄よりあわせてご参照下さい。
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(2024/4/16更新)
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